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 明窓 :  好き嫌いとしての中国
 大都市の有名書店をのぞくと、中国コーナーに出くわすことが多い。中国に関する書籍や雑誌を並べた常設スペースが比較的目につきやすい一角に陣取る。本格的な学術書から、時流に乗じた中国脅威論まで幅広い▼それらの表題を手がかりとしながら、ある傾向が浮かび上がってくる。中国に対して好意的な内容と警戒する趣旨の本が比較的はっきり分かれていることである。強いて言えば、親中国と反中国。表題でそれと分かることもあるが、出版社や著者によってこれほど色分けが二分される国も少ない▼中国が好きか、嫌いか−。その底流にはイデオロギーの古層のようなものがよどむ。今では「時代もの」扱いされている左翼思想は中国に親近感を寄せ、右寄りの考え方は反中国に結集するかのようだ▼市場経済をひた走る中国に今さら左右のイデオロギーでもないが、好き嫌い感覚の由来は伝統的な左右対立から発しているのではないか▼中国コーナーに人垣ができるなかで「また中国か」と思わせる衝撃が広がっている。中国製ギョーザによる中毒は、故意による事件の可能性もうかがわせつつある。中毒を起こした殺虫剤がどこでどう混入したのか。捜査当局とともに日中政府も真相究明に乗り出している▼中国製食品に募る不信感。「それみたことか」と勢いを得る嫌中国派に「市場経済に汚染された拝金主義のなせる業」と親中派は反論するだろうか。食の安全に右も左もない。信なくば食えずが普遍イデオロギーである。(前)
('08/02/09 無断転載禁止)


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