2005年10月05日

永六輔&小林啓子

沼袋・シルクラブで永六輔さんと歌手の小林啓子さんの共演。開演20分前に会場に着くと、もう永さんの声が聞こえる。前説を自らつとめている。開演したら舞台を降りると思ったら、そのまま終演まで、小林が歌うとき以外はしゃべりまくる。御歳72歳。元気。しかも話も面白い。皇室ネタ、着物の帯はなぜ後ろで締めるのか、三波春夫に歌を作った話、野坂昭如のリハビリの話、命は宇宙につながり、また過去から未来につながっているという話・・・。なかでも面白かったのは、「いただきます」の話。ラジオで食事の前に「いただきます」と言おうと言ったところ、杉並の教育委員会から、「おかしなことを言うな」とクレームの電話が入ったという。給食費は払っているのだから、そんなことを言う必要はないというのだそうだ。不思議な区だ。小林啓子はその昔、『比叡おろし』がヒットしたもののまもなく引退。このたび35年ぶりにカムバックした。マイクなしの弾き語りだが、よく声は響いた。その『比叡おろし』と『ストーカーと呼ばないで』がよかった。永さんの隣で歌うのはさぞ気苦労だろうが、お客とすれば、歌としゃべり、双方の名手が演じてくれるのだから、うれしい。永さんが言っていた。本来のレビューとは毒のあるしゃべりやちょっと下品な話、政治批判のような堅い話などをしても、歌がそれを消してくれる、そうした歌としゃべりのショーをいう。この日の催しは、上質のレビューになっていた。
 

 

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