岡山県は、一昨日、県内の自治体などと東南海・南海地震を想定した大規模な図上訓練を行った。自然災害への備えは、日ごろから心掛けておきたい。
その基本ともいえる小学校の防災教育の支援に岡山地方気象台が取り組んでいる。自然災害関係の豊富な調査資料を生かした教材づくりだ。パソコンで使えるように収録した教材を年度内に県内の全小学校に配る。
第一弾は自然災害の概要と台風、地震だ。イラスト、県内の被災時の写真や動画を入れ、自然災害に対する油断の戒め、被災時の行動、情報や助け合いの大切さなどを説く内容である。
阪神大震災から十三年になり、記憶の風化が進んでいるといわれる。気象庁が昨年発表した意識調査結果でも、津波について前兆なしに来る「押し波」もあるのに大津波の前は必ず「引き波」だと思っている人が75%に上った。誤った知識は危険だ。
その点、最前線に立つ気象台の支援は心強い。得た知識は行動に移してみることだ。地域の災害調査や通学路のハザードマップづくり、家族との避難確認などへ展開できる。岡山地方気象台は今後も洪水災害などをテーマに取り組むが、「児童の聞き取り調査結果などを生かす方法も探りたい」という。
防災教育の在り方はまだ試行錯誤の段階だ。児童との双方向で、いざという時に役立つ実践的な教えを期待したい。