◎フードピアランド 「食の安全」考える機会にも
きょうから金沢市の県中央公園で始まる「フードピア金沢2008」のメーン行事「フ
ードピアランド」には、ドジョウのかば焼きや能登丼、高岡コロッケ、氷見牛カレーなど、北陸はもとより全国各地の伝統食や、目下売り出し中の創作料理などが勢ぞろいする。中国製ギョーザ中毒事件や相次ぐ偽装表示問題などで、食への不信が高まるなか、つくり手の顔が見える「ご当地グルメ」は、これからますます注目を集めるに違いない。この食の祭典で古里の豊かな食文化に触れると同時に、地産地消や食の安全などについても思いを巡らせ、日々の食生活を見直す機会にしてはどうだろう。
北陸の食材が最も豊かな真冬に開催されるフードピアランドには、この地の豊かな食文
化が息づいている。能登直送のカキや加能ガニなどの海の幸はその代表格といえよう。北陸各地では、そんな海の幸や山の幸を生かした名物料理づくりが盛んである。「加賀野菜」や「能登野菜」のように、特産品づくりに力を入れるところも出てきている。フードピアランドは、質の高い地物食材が勢ぞろいし、味やアイデアを競い合う格好の舞台にもなっている。
高級料亭で供される加賀料理だけが古里の味覚の代表なのではない。ドジョウのかば焼
きのような懐かしい庶民の味、丼ものやコロッケなどいわゆるB級グルメを含めて、石川の食の豊かさ、奥行きの深さを再認識させる食べ物はまだまだたくさんあるように思う。
会場では北陸だけでなく、たとえば博多や喜多方、高山、旭川など各地の地名を冠した
ラーメンが味わえる。食に対する地域のこだわりが、一杯のラーメンに詰まっている。世界各地で日本食がもてはやされている理由が、こんなところにも見て取れる気がする。
農薬が混入していた中国製ギョーザ事件や食品の偽装表示など、食の安全が脅かされて
いる時代である。もっと安く、もっとおいしいものと、際限ない要求をしていくうちに、私たちの暮らしは、いつしか素性のはっきりしない食品に取り囲まれてしまった。だが、安全、安心な食材は私たちのすぐ目の前にある。フードピアランドで、ぜひそんな「発見」をしてほしい。
◎G7議長国 信用不安解消へ汗かきを
きょうから東京で開幕する先進七カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)の注目点は、
サブプライムローン問題で高まる世界規模での信用不安の解消に向けて、効果的なメッセージを示せるかどうかに尽きる。金融市場や信用供与のシステムが不安定なままでは、景気の一層の減速は避けられない。各国が足並みをそろえてサブプライムローン問題に対する処方せんをどこまではっきりと示すことができるか、議長国日本の汗かきが求められる。
サブプライムローン関連の損失額は、欧米の金融機関を中心に膨らむ一方であり、この
影響で日本をはじめ経済が好調な中国やインド、ロシアなどの証券市場も乱高下を繰り返すなど極めて不安定な状態が続いている。八年ぶりに日本で開催されるG7は、これまで以上に世界の耳目が集まる会議になるだろう。
日本にはバブル崩壊後の長期不況に苦しんできた経験がある。潤沢な外貨準備と個人金
融資産を持つ強みもある。日本はサブプライムローン問題では比較的傷が浅かっただけに、経済力にふさわしい存在感を示す格好の舞台である。
G7の声明では、各国が危機感を共有し、金融市場の混乱回避に向けてスクラムを組む
姿勢を示すだけでは不十分である。言葉だけの協調では市場に見透かされる。主要国の金融監督当局で話し合われている「サブプライムローン問題に関する金融安定化フォーラム」の中間報告に、十分な肉付けをしたうえで、信用不安解消へ向けた強い決意を示す必要がある。
サブプライムローン問題は、最近になって住宅融資や金融商品の債務保証をする「モノ
ライン」と呼ばれる金融保証保険会社の格付けにも飛び火した。欧米の巨大銀行は自力で資本増強できたとしても、金融保証保険会社はそれほど体力がない。G7がモノラインの救済に向けた具体策を打ち出すことができれば、大きな成果になるだろう。
東京G7を目前に控えた東京株式市場の日経平均株価は一万三〇〇〇円割れ寸前まで落
ち込んだ。有効な対策を打ち出せないようなら、週明けから再び失望売りに見舞われることになりかねない。