さてそう言うわけで、何と、私が公開した緊急徹底反論にソフトバンクの松本氏が直々に反論していただけると言うことになりました。大変光栄なことですね。全ての事態がとっくに決着がついて、2ヶ月もたっての反論ですけど(笑)。 で、反論の内容を読ませていただきましたが、相変わらずひとりよがりで自分に都合の良いことしか書いていませんね。あっちの議論ではこうだ、こっちの議論ではああだ、と、段落が変わるたびにポリシーがあっちいったりこっちいったり、「単に反論のための反論」でしか無いですね。この辺は読んでいただければ誰にでもわかることと思います。 ではまずデュアル端末の話。 その中に3GとWiMAXのデュアルモード端末という使い方も当然あることをご理解いただきたい(中略)顧客にそういうニーズがあるかぎりは、当然そういう端末も自らで供給していかねばなりません。 確かにそうですよ。そう言う使い方もある。でも、それが技術的に不可能なら、そうではない方法で、いかに利用者が快適に使えるものを作るか、と言う工夫をするのが、企業の義務ではありませんか?利用者のニーズをたてに可能性を一つに絞り、他の可能性を全く顧みることなく、しかも「だからこの帯域はいらない、ウィルコムにやるよ」とは、いくら何でも責任ある企業としては身勝手な態度でしょう。あなたの言うことが成り立つんなら、「2G帯は15MHzしかないから容量が小さい、これでは顧客のニーズを満たせませんから、当社ではどうしても使うことができません」とウィルコムが言ったとして、あなたはどう反論しますか? また、技術的な話をさせていただくと、確かに当時のあの議論はかなり誇張して書いているので、実際問題として、2G帯から2.1G帯への回り込みの問題などはかなり解決は難しく、解決しなければならない技術的ハードルはかなり高いというのは事実です。おそらくこの辺を言っているのでしょうけど、ただ、松本氏が当初言ったように「何をやってもダメ」と言うことは絶対無いんですよ。例えば、単純なところでは、W-CDMAとWiMAXのRF〜アンテナを端末の両端に配置して電気的にアイソレートする。これだけで、おそらく回り込みの問題はほぼカタが付くはずです。それが無理と言うなら、通信するときは必ずどちらかしか使わないわけですから、使わない方は無駄な電波を発射しなければそれでOK。音声とパケットを同時にと言うのなら、音声中のパケットに限ってはW-CDMAのマルチアクセスを使えばいいんです。WiMAXを使うときはW-CDMAはOFF。ページングもWiMAX側に転送して受信時には一時的にWiMAXをOFFにしてW-CDMAを起動。こんな感じで、工夫次第でいくらでも解決方法はあるんです。工夫することを放棄して「何をやってもダメ」と言い切り、一方他社には「周波数変えるくらい簡単だろ」と工夫を促す。自己矛盾してますね。 次に周波数変更の話。 不思議なのは、「反論」の筆者の言っておられるウィルコムさんの次世代PHSについての「調達協定」なるものです。 知らんがな(笑)。そんな調達協定があるかどうかなんて、私が知るわけ無いじゃないですか。私は「もしそう言うものがあったらどうするの?」という仮の話をしているのに、鬼の首を取ったように「この時期にそんなものがあったらオカシイよ。はい論破完了。」とは、さすがにずれていますね。私が言いたいのは、そんな協定が無いにしても、すでにチップ選定などでいろんな業者に声をかけて大変な労力をかけているのに、それをまたゼロからやり直せと言うのか、と言う話ですよ。実際にすでに2.5Gで動いている実験局もあるわけですから、その辺のハード選定はかなり進んでいるはずで、これをやり直させる程の正当性がソフトバンクの主張に含まれていますか?と言う話です。 次にガードバンドの話。 「同じ通信システムであれば干渉の回避がたやすくなる」ということは、無線通信の世界の常識ですから、まさか「反論」の筆者が「初めて聞いた」なんてことはないでしょう。 ええ、当然聞いたことがありますよ。「たやすくなる」ならね。あれ、あなたあのときなんて言いましたっけ。「同じシステムならガードバンドは必要ない」って言いましたよね。言ってることがすでに変わってますよ(笑)。ついでに言えば、私が指摘したのは、「(ガードバンドが必要なくなる条件である)異なる事業者間で同期を合わせる技術的困難性」ですよ。その点に何の反論もありませんが、私の反論、ちゃんと読んでくださってたんでしょうかね。それとも、事業者同士が連絡を緊密に取るだけで自動的に異なる事業者の全ての無線局が勝手に同期してくれる画期的システムでも開発されたんでしょうか。 免許取得までの経緯の話。 その後IPモバイルの免許が返上される見込みとなったので、「あ、これなら、ウィルコムがこの周波数帯を使ってやっていける道が開けたわけだ。(ウィルコムにとっては決して大きなマイナスにはならない筈だ。) この括弧の中の一言こそが、最大のひとりよがりで勝手な主張ですね。ウィルコムにとって決して大きなマイナスにはならないはずだ、というのは、どこから出てきた主張ですか。ウィルコムの方にちゃんとヒアリングしてそう思ったのなら許しましょう。違いますよね?嘘をついているというのはその点です。そもそも、ウィルコムが長く2.5G帯の実験局でフィールド実験を繰り返してきたことは何度も報道されていますし、WILLCOM FORUMやWIRELESS JAPANでも公開実験さえされていました。この事実を知らなかったとは言わせませんよ。その実験で培ってきた2.5G帯のあらゆるノウハウを捨ててやり直せと言っているわけですから、これはもう、自分勝手も甚だしい。全く正当性はありません。 我々のMVNOについてのコミットメントと他社のコミットメントでは、天と地ほどの差があったことをご理解いただきたいと思います。 これもおかしな主張ですね。免許方針と総務省の意思が発表された時点で、MVNOの間に差別をもうけてはならないことは「コミットメント以前の問題」だったんです。つまり、申請業者全てのついての「暗黙のコミットメント」であったわけです(これがウソだというのなら、ソフトバンクだけがそのことを理解していなかったと言うことです)。その暗黙のコミットメントをただ大仰に書き連ねただけで「天と地ほどの差」とは、まぁ何というか、自意識過剰も良いところですね。 2GHzも使えることが分かった最終段階では、「使えるところが2GHzを使うことによって、公正環境の実現を最大限に担保する」という提案です。この考えに、何かおかしいところ、身勝手なところがあるでしょうか? 身勝手ですね。2GHzも使えることがわかった最終段階、って、え?って感じですよ。2GHz帯が使えるなんて、誰が言ったんですか?総務省の方がそんなことを言ったんですか?2GHzも使える、と勝手に決めつけたのはOpenWinただ1社です。だって、ちょっと総務省の報道発表見てください。2GHzの免許が返上されたことを示す「2GHz帯の周波数を使用する特定基地局の開設計画に係る認定の取消しに関する電波監理審議会からの答申」は、何月何日ですか?総務省が2GHz帯の再利用を検討し始めた「2GHz帯におけるTDD方式を活用した移動通信システムの技術的条件について審議開始 情報通信審議会での審議開始」の日付、何月何日って書いてますか?では、あなたが「2GHzが使えるんだからウィルコムはそっちを使え」と言ったのは何月何日でしたか?まだ何も決まる前から勝手に言い始めただけですよね。反論するなら、せめて時系列の整理くらいして欲しいものですね。 IMT-2000割当の話。 2.5GHzの時と同様、総務省が単純に「別にIMT-2000でなくともよいですよ」と決めれば済むことなのです。(これには誰も反対するとは思えません。) すごいですね、総務省のやることまで勝手に決めつけ始めました。今でこそそう言う議論になっていますが、当時はそうなるという保証は全く無かったですよね?(少なくとも公の場では)。もしウィルコムがソフトバンクの提案を容れて2.5G帯を辞退し、2G帯を心待ちにしているところに総務省が「やっぱり2G帯はIMT-2000一本で行くよ〜」なんてことを言ったとしたら、ウィルコムは辞退損ですよね。ウィルコムにそれだけのリスクを負えと言うソフトバンクの提案がいかに荒唐無稽か、ご自分でわかりませんか? 1.7G帯の話。 ソフトバンクは1.7GHzの免許を取得しましたが、もっと早く且つ大規模に事業を展開したかったので、これと並行してボーダフォンとMVNOの交渉をしていました。しかし、MVNOの条件が折り合わず、そのうちに先方から「いっそ買収しないか?」という提案があったので、一大決心をしてこれを受けることにしたのです。 これがすでにおかしいですよね。「新規事業者として」周波数の割当を受けた以上、新規事業者としての条件を失う「既存事業者の買収」というのは、何としても固辞しなければならなかったのです。国民から預かった大切な周波数を責任を持って運用するつもりがあるのなら、自ら失格となるようなことをしてはいけないのです。ビジネスのためなら約束を破ってもいい、と言っているわけです。今回は国家(行政)との約束を破っているわけですから、極論すればビジネスのためなら犯罪も辞さず、と言っているのと同じですよ、松本さん。自覚ありますか? 実はソフトバンクは、ボーダフォン買収後も、将来の拡張のために1.7GHzはそのまま保有しておきたかったので、その旨総務省にも話しました。 しかも自ら失格の道を選んでおきながら、当初の約束を曲げてその帯域を保持しておきたかった、等とほざいています。どこまで自分の恥をさらせば気が済むんでしょう。 ITUの話。 何よりも優先すべきは「国民(利用者)の利益」であり、ITUの取り決めに杓子定規に縛られて、国民の利益を犠牲にすることは意味のないことです。 これも、利益のためなら約束を破っても良い、と言っているわけですね。なるほど、ソフトバンクはそう言う会社なんですね。納得しました。「他人が破ってるから自分もいいじゃん」というのは、最低の人間のやることです。せいぜい許されるのは小学校低学年までですよね、その理屈は。どうして、「アメリカや欧州はそう言うことをやっているけど、我々日本人だけはきちんと約束を守って世界に規範を示そう」という考え方はできないんでしょうね。全く、心根が腐っているとしか言いようがありません。 KDDIの技術の話。 「ベンダーとのNDAに抵触するから」という理由で、ついに何の開示もなされませんでした。 わかりました、じゃぁうちの会社も、ソフトバンクとのNDAは無視して、公共の利益になることならなんでもしゃべっちゃいますね。・・・って言われてもいいわけですか。NDAの意味がわかってないんでしょうか。契約は守る、っていうビジネスの最低限のことがわかってないようですね、松本さん。 あと、いちいち「この筆者は○○をご存じないようで」「○○を理解されていないようで」って枕詞、いやいくら腹が立ったからって、企業のトップが名前を出して公開した文書中で他人を繰り返し中傷する態度は余り感心しませんよ?私?私は無責任な匿名個人だからいいんです(笑)。 はー、疲れた。あまりにツッコミどころが多くて。最後に一言。 一日たった1500PVなんて言う弱小サイトにムキになって反論って、よっぽど暇なんですね(笑)。 と言うことで、反論の反論の反論でした。でわ〜。