緊急徹底反論
2007/12/04 21:21あまりに馬鹿にしている、と言うよりもむしろおバカなので、緊急徹底反論。ソフトバンク松本氏のインタビュー。
まず持って、自分が2.5G帯を使いたいからウィルコムを追い出そうとしたのだ、と言う点を反論していますが、それにもかなりウソが含まれています。ウソではないとしたら単なる無知なのでしょうけど。
「アイピーモバイル跡地が割り当てられたとしても帯域が近すぎて実用化できない。どう頑張っても使えないのです。もちろん大きなフィルターを端末に搭載すれば、1台でW-CDMAとWiMAXという端末は実現できますが、そのような大きな端末ではダメですよ。」
アイピーモバイルに近いというソフトバンクの「1960〜1980MHz」は、上り(端末→基地局)です。ですから、送信フィルターが満たさなければならない技術条件は、基地局からの送信よりも遙かに緩和されます。ぶっちゃけると、それぞれ送信機+フィルタという構成を取ってアンテナ直前で混合するだけでもOK、端末サイズはせいぜい2系統のRFを積むことによるスペースの増大分だけ。これは周波数が離れていようと隣り合っていようと同じこと。そもそも、同じ通信方式でも無い限り、デュアルバンドの端末ってそうやって作るものじゃありませんでしたっけ。W-CDMAと無線LANのデュアル端末なんてのもベースバンド-RF-フィルタとも2系統で作られていますが。逆に、周波数が近いほどアンテナ共用ができる分、有利という考え方もありますが、どうなのでしょう。加えて言えば、いくら近いとはいえ2GHz帯域は2010MHzから。30MHzも離れているんです。これだけ遠くのスプリアスも抑制できないフィルタて、いくらなんでも安物過ぎ。っていうか今までソフトバンクはそんなクズフィルタを公衆で使ってたってこと?・・・寒気がします。それ以前に、なぜにソフトバンクモバイル2GHz携帯とのデュアルが前提の話になっているんでしょうね。そもそもBWA事業者は特定の3G事業者が主導権を握ってはならないということが総務省、ひいては国民の総意ですし、OpenWinには同じく兄弟会社として1.7Gをもつイーモバイルがいるじゃないですか。近い周波数がいやなら1.7Gを使えばいいんじゃないですか?そういえばソフトバンクモバイルは1.5Gも持ってますよね。あぁ、だったらウィルコムよりも周波数が遠くて作りやすいってことですよね(笑)
「周波数変更にどれほどの工数が必要というのでしょうか。周波数を変えるのは簡単ですよ。」
そりゃね、ソフトウェアはそうでしょう。でも、ハードウェアはそうはいきません。この人、ソフトバンクという他人のものを買い付ける能力だけは高い企業体にいるくせに、調達という概念がわかってないんですかね。2年後にサービス開始となれば、下手すりゃすでに個別のチップベンダーとの調達協定も結んで調達体制を整えている時期です。もちろんそのチップは、2.5Gで最高性能を発揮できる最良のものを選定しているでしょう。それが、この時期に周波数が変われば、もちろん要求されるチップの性能も変わりますから、調達先ベンダーの再選定から始めなければなりません。仮協定を結んだベンダーに違約金を支払う必要さえ出てくるかも知れません。周波数の変更を「工数」という一面でしか見ることができないとは、ソフトバンクのトップってこの程度なんですかね。
「全国バンド2つがどちらもWiMAXなら、同じ通信方式ということで干渉の心配がいらなくなり、ガードバンドも必要なくなる。」
同じ通信方式なら干渉しなくなるんですか。初めて聞きました。あのね、OFDMで干渉を全くなくすためには、お互いの送信タイミングがシンボルレートの単位まで一致していないといけないんですよ。これは、μ秒の単位です。お互い全く別の事業者、全く別のセルプランを持つ事業者同士がここまできっちりと送信タイミングを合わせて、ようやくガードバンドを取り払うことが可能なんです。そんなことが現実的に可能か、全く考えてないんですね。これを実現するにはセルの大きさも置く場所もきれいにそろえないといけない。そんなことは、同じ事業者の中でも非常に難しいんですよ。
「自分たちが2.5GHz帯を使いたいから、という彼らのエゴのために、10GHz幅という貴重な電波をどぶに捨てようとしているわけです」
それはウィルコムだけの罪ですか?ソフトバンクもそう言われればそうでは無いですか。IMT-2000技術(WiMAX)での参入を検討しているのにIMT-2000向けに解放されている2G帯を無視する、と言う意味では、ソフトバンクの方が罪が重いと言えます。そもそも、2G帯の再利用はこれから議論しなければならないことであり、まだ俎上にも乗っていない状態、今回の2.5Gの話と絡めること自体が全く筋違いです。また、ソフトバンクは、自分たちが1.5G帯と2G帯を使いたいと言うエゴのためにボーダフォンを買収し、免許取得済みの1.7G帯10MHzをどぶに捨てる、と言うことを実際にやっちゃったわけですが、そのことには触れなくて良いんですかね。
「――2.5GHz帯は国際的にもBWA向け無線だから、という話もありますが。
まじめに考えて言っていただきたいですよ。「広域無線と世の中で言っている」というのは意味のないことでしょう。」
いや、そうじゃなくて、ITUっていう国際的に権威のある勧告でそう定められて、世界中の人がそれを守ることで国際的な資源である電波をより有効に使いましょう、と言う国際協定ですよ。まちがっても「みんなが言ってるから」という話ではないのですけど。ソフトバンクって、過去にもこういう発言していますよね、法令で定められた勧告に対して「みんなが言っている程度のこと守る必要はない」なんつって無視したことが・・・。これだから、協定も約束も守れないソフトバンクなんて言われるんですよ・・・。
ついでにKDDIに対するいちゃもんも穴だらけ、ツッコミどころ満載なので、ありがたく突っ込ませていただきます。
「すばらしい技術を開発した可能性は低いにもかかわらず、投資額が小さいということは、「最初からこじんまりとした事業展開をするつもりなのだな」と想像できる。」
自分の勝手な推測で「すばらしい技術を開発した可能性は低い」と断言するのはいかがなものでしょうか。KDDIはすばらしい技術を開発した、そして、まずはそれを日本で実用化するのだ、と考えれば、投資額が小さいことも国内展開をすることも全く矛盾はありません。国外に打って出ないからすばらしい技術はできてないと推測するのは的外れも良いところです。そもそも、国外ではまだ全くBWAの議論の始まっていないところが大半です。国外展開はこれからの話だと思うんですけどね。
「特に基地局数という意味では、KDDIさんは高い周波数での経験があまりないはずです。3Gサービスは800MHz帯中心にやってきて、2GHz帯でも苦労されているのではないでしょうか。確かに企業として、800MHz帯で3Gを展開してきたのは正しいことかもしれませんが、2.5GHz帯はもっと難しいですよ。そこで「KDDIは技術力がある」と言われても、彼らは今後未体験ゾーンに入っていくのです。 」
ソフトバンクはもっと経験が無いはずですが。KDDIは今では十分に2G帯を活用しています。KDDIのEV-DOのエリアマップくらい確認してみましょう。また、実際の速度も確認してみましょうよ。ソフトバンクが都市部でも100kbpsも出ないようなところで、KDDIは800k〜1Mbpsを出しています。3万数千もの基地局をそろえてせいぜい100kbps、と、1万そこそこの基地局数で1Mbps近い実効速度・・・どちらの方が高周波の技術力が優れているか、一目瞭然です。加えて、KDDIの母体である旧DDIは、日本全国をマイクロ波中継網で結ぶと言う離れ業さえやってのけました。むしろ高周波技術では圧倒的にKDDIの方がノウハウを持っていると言えます。
「我々が時間をかけたのは、ボーッとしていたのではありません。技術の内容や参加企業などを慎重に検討した結果であって、それをもって「ソフトバンクの方が技術力に劣る」と評価されるのは言われ無きことです。 」
ボーッとしていたではないですか。WiMAXには山ほどサブセットがあり、それこそ実験に実験を重ねてパラメータのセッティングをしなければまともに動くものはできません。特に日本は世界的にも最もヘンテコな地形分布・人口分布を持っています。日本には日本にあったサブセットが必要になり、今の時期にまだ機器間の接続試験だけで実エリアでの実証実験さえしていないと言うのは、技術的に劣ると言われても仕方がありません。
「(KDDIは)こじんまりとした事業計画で、自分たちでコントロールしようとしている。」
どこがこじんまりとしているんでしょうか。投資規模も想定加入者も大して違いはありません。むしろ、MVNO候補のプロバイダが多数参加しているOpenWinは、資本参加したプロバイダ以外が閉め出されるようになるのは火を見るより明らかです。プロバイダまで資本参加して伝送路からサービスまで利害関係者で固めようとするソフトバンクと、純粋なネットワーク事業者として伝送路提供に徹しようとするKDDIでは、むしろソフトバンクの方が利己主義的でこじんまりした計画に見えます。
「どう考えても、我々が当選しなければ世の中おかしいと思いますよ。 」
世の中ではなくあなたの頭の中がおかしいのだと思います。
以上ありがとうございました。
2007/12/05 at 0:15:22
他の文章でもつっこみ放題だったのですが、特に
>「全国バンド2つがどちらもWiMAXなら、同じ通信方式ということで干渉の心配がいらなくなり、ガードバンドも必要なくなる。」
この一言にはさすがに呆れてしまいました。
こんな間違いをするような事業者に周波数を与えるべきではないですよ。勘違いなんて言うレベルじゃないです。
それとも、ソフトバンクは普段からガードバンドを無視した運用をしているのでしょうか?
もしそうなら恐ろしいことですよ。
2007/12/05 at 0:41:33
門外漢の当方、”この程度の認識しかない人がNo.2とかで、会社として大丈夫か?”とは思いました。
ただ、世間の多くはそこまで考えないことが予想され、”声の大きい人が勝つ!”側面がありますので、多くの人はSBMの主張に無批判(無思慮)に同調してしまう可能性は少なくないであろうことを強く危惧します。”正論”より”(刷り込まれた)イメージ”の方が強いですから。
今回、知名度のなさが世間に与えるイメージの決定的な差となるだろうと思うのは、悲観/卑屈に過ぎるでしょうか…
2007/12/05 at 2:42:36
ガードバンドやフィルターの話といった、かなりハード側の話は自分も気になりながらも全くの専門外だったので、結構タメになりました。
やっぱり「同じ通信方式だったら干渉しないからガードバンドいらない」なんて話、おかしいと思ったんです。
ところで最近のOpenWin陣営の発言を聞いて思ったのですが、もしかして彼らはテキトーにWiBroを持ってこようなんて考えてたりしてませんかね?
2007/12/05 at 8:03:40
なんかソフトバンクの主張は技術的にウソだらけらしい…
緊急徹底反論(AIR-internet-EDGE12/4)
旗色が悪いからか、あるいは元からそういうことしかできないのか、先週からやたらと場外乱闘を仕掛けてくるO (more…)
2007/12/05 at 8:22:03
>大きな声
ヤフーBBのおかげで日本のADSLが普及&安くなった。
ソフトバンクケータイのおかげで日本の携帯料金が下がった&定額通話が実現した。
ヤフー(ジャパン)のおかげでオークションやブログが普及した。
・・・なんて思ってる消費者は意外と多いんじゃないかなあと心配してみたり。
2007/12/05 at 16:30:10
相変わらず他社批判しかしていないですね。唯一の取り柄?のMVNOも他社と比べてどこまでオープンなのか明確でないですし。MVNOならウィルコムだって長年の実績がありますよ。
ソフトバンクの肩を持つわけではありませんが、デュアル端末とガードバンドについてちょっと補足を。
帯域が近いとデュアル端末が難しい理由ですが、
送信機が送信する電波には、通信に必要な電波の両サイドに不要な高調波が発生します。この高調波は本来の周波数から離れるにつれて減衰します。当然これが他の通信に干渉しないようにフィルタでカットしますが、完全には除去できません。
ソフトバンク3G(上り)とアイピー跡地のモバイルWiMAXの場合、同じ端末内だと3Gの送信器とモバイルWiMAXの受信器が近すぎて、3G上りの高調波がモバイルWiMAXの受信側に入り込んできます。フィルタでカットしているとはいえ、受信する電波も微弱なので(フィルタを通した高調波よりもさらに微弱な場合がある。)モバイルWiMAXの受信に影響が出てしまいます。
フィルタの特性を良くすればデュアル端末は可能ですが、フィルタ回路が大きくなります。
ガードバンドも同じく隣接チャネルからの高調波の問題です。詳細は読んでいないのですが、総務省の広帯域移動無線アクセスシステム委員会の報告だと、モバイルWiMAX同士で同期がとれていれば、ガードバンドは1MHzで良いそうです。ただ移動通信用2社の間に地域固定バンドがあるので、2社ともモバイルWiMAXで同期していてもガードバンドが取り除けるわけではないです。ちなみに地域固定バンドはWiMAXと次世代PHSが使えます。
2007/12/05 at 19:05:09
本領発揮w
いやはや痛快です
SBMは言えば言うほど恥をばらまいてるようなもんですね
まさにm9(^Д^)
2007/12/05 at 19:24:47
米Qualcommの上級副社長までやった人の発言としてはお粗末極まりないですね。
SBMに来てどれだけ手腕を発揮するかと思えば完全に孫氏の下僕に成り下がった印象です。
この会社は周波数だけでなく優秀な人まで腐らせるんですかね。
2008/02/08 at 18:31:57
松本徹三氏の代理の者です。
昨年の12月4日に、AIR-internet-EDGEさんが、「緊急徹底反論」と題して、ソフトバンクモバイル副社長の松本徹三氏のITメディアのインタービュー記事の内容にについての批判を掲載されました。
松本徹三氏「反論への反論」をに掲載しましたので、相当の長文ではありますが、是非ともご参照願えればと思います。
http://blog.sbibusiness.com/interview/001/index5.html
同氏は、「AIR-internet-EDGEさんの『反論』には、技術的な問題についての誤った理解と、ビジネスの本質についての認識の欠落が数多く含まれていたが、これに対する同氏側からの『反論』をすぐに出さなかったのは、下記の理由による」としています。
1)AIR-internet-EDGEさんの「反論」が、「あまりに馬鹿にしていると言うより、むしろおバカなので・・・」という書き出しだったので、「こういう書き方をする人と議論してみても、あまり建設的でないな」と思ったこと。
2)ちょうどその日に、ICPFの本件についてのシンポジウムがあったので、その場でオープンに議論することを期待していたにもかかわらず、ウィルコムやKDDIからは結局誰も出てこず、多くの聴衆で埋められた会場からも、堂々と質問をしたり異論を表明する人が、誰一人居なかったこと。
3)「AIR-internet-EDGEさんの技術的な知識の不足」からくる誤り(見落とし)の幾つかにについては、その翌日にpataさんが正確に指摘してくれていたので、「これで技術論の誤りは正された」と考えたこと。
しかし、最近、私が同氏と、「近い将来、全ての人がWeb上で検索されるようになり、そうなると、多くの人が『誹謗中傷』の被害を受ける可能性も出てくるが、どうすればこれを防げるか?」という議論をした際、同氏よりこの話が一例として出され、私から、「雑音の影響を少なくする為には、これを打ち消す正しい信号を数多く出していくしかない」と話したところ、「それでは、本件をそのケーススタディーに出来ないか」という話になり、上記のような依頼につながった次第です。
同氏からは、「『反論への反論』に対する『再反論』がもしあれば、その全てに対して丁寧に応対する」旨の約束を貰っていますので、http://blog.sbibusiness.com/interview/001/index5.html上に、ご遠慮なく書き込みをいただければと思います。
なお、同氏によれば、「2.5GHz問題は、一応の審査結果が出たとはいうものの、未だ全てに完全な決着がついたわけではないし、2GHzの免許問題はこれからの議論故、少なくとも、『反論』の筆者が持っているような、『技術的な事実についての誤った理解』は正しておく必要がある」とのことでした。