「緊急徹底反論」への反論(ソフトバンクモバイル松本副社長)


昨年の12月4日に、AIR-internet-EDGEさんが「緊急徹底反論」と題して、私のITmediaのインタビュー記事の内容についての批判を出しておられました。内容に多くの誤りがあったので、本来ならすぐに「反論への反論」の書き込みをするべきだったのかもしれませんが、幾つかの理由のためにそれをしておりませんでした。

しかし、こういう本質的に間違った理解はやはり放置しておくべきではないと考えるに至ったため、遅ればせながら、「反論への反論」をここに掲載させていただきます。長文で恐縮ですが、AIR-internet-EDGEさんの「緊急徹底反論」の各項目と、これに関連して書き込まれた幾つかのコメントに、ほぼ逐条で対応しておりますので、ご熟読賜りたく存じます。

もしこれに対する再反論等があれば、ご遠慮なくお書き込みください。本件に直接関係するものである限りは、逐一誠意を持ってお答えさせていただきます。

<何故ソフトバンクは2GHzのIPモバイルの跡地が使えないのか?>

先ず、WiMAXの使い方にはいろいろあるでしょうが、その中に3GとWiMAXのデュアルモード端末という使い方も当然あることをご理解いただきたいと思います。通信事業者としては、それぞれの顧客にそういうニーズがあるかぎりは、当然そういう端末も自らで供給していかねばなりません。「反論」の筆者は、「イーアクセスの1.7GHzでやればよいではないか」とか、「1.5GHzを使っている我々の2G端末にWiMAXを入れればよいではないか」等と言われ、わざわざ(笑)マークを入れて私を嘲笑されていますが、この方はおそらく、「顧客の求めるものを供給する」というビジネスの基本を、全くご理解されていない方なのでしょう。

ソフトバンクの場合は、現在割り当てられている(或いは、割り当てられる可能性のある)上り線は1960-1980MHzであり、一方IPモバイルの跡地は2015-2030MHzですので、この両者は35MHzしか離れていません。デュアルモード端末機の中では、3G用の通信回路もWiMAX用の通信回路も、常時何らかの電波を送受信してネットワークの中での自分のポジションを確認しているわけですが、3Gの上り線から常時発信される電波は、上限の1980MHzの外に高調波を発生させるので、これが35MHz離れたWiMAXの受信波に干渉します。(このことについては、pataさんが翌日に出されたコメントの中で正確に指摘されております。) 勿論、この様な干渉はフィルターを使ってカットすべきは当然なのですが、これにも自ずと限界があります。仮に受信帯側のノイズを-133dBm/Hzから-135dBm/Hz程度に抑えようとすれば、例えばAVAGO社製のPAを使った場合だと、隔離が45MHzあったとしても難しいというデータが出ています。勿論、フィルターの性能アップやその他の工夫によってこの数値はかなり改善できるとは思いますが、35MHzはかなり苦しいところです。

「反論」の筆者は、当社の端末機に使われている部品が「安物過ぎる」とか、「クズフィルタ」とか、「寒気がする」とか言っておられますが、このような過激な言葉をお使いになるのは、今後はやめられた方がよいと思います。これは当社の商品の信頼性に対する極めて不当な攻撃であるのみならず、ドコモさん向けの端末ベンダーさんや、そこで使われているPAやフィルターのメーカーさんも、大体状況は同じだと思いますので、そういう方々に対しても大変失礼な物言いであると思います。

なお、もし「反論」の筆者が、35MHzの隔離で端末内の干渉を完全に押さえ込む技術をお持ちの方をご存知なら、是非ともご紹介ください。

<ウィルコムの周波数変更の問題>

私はもともと、米国の半導体メーカーであるクアルコムで10年近く仕事をしていました。クアルコムは、CDMAチップの世界市場におけるリーダーであるのみならず、世界最大のRFチップメーカーでもありますから、この辺のところについては、少なくとも「反論」の筆者より多くの事象を見てきていると思います。移動体通信端末に使われるモデムチップとアプリチップ、RFチップは、最近では多くの場合モデムチップとアプリチップが一体化しているものの、基本的には分かれています。そして、開発と製造が難しいのはモデムチップとアプリチップの方であり、RFチップは比較的簡単でコストも安いものです。

世界のケータイに使われている周波数は、450、800、900、1500、1700、1800、1900、2100、2150と多岐にわたっています。通信方式が異なってもRFチップは原則的に同じでよいので、その点では楽ですが、そのかわり、世界各地で使われている周波数がこのように多岐にわたるので、いろいろなチップをいろいろな形で集約したり組み合わせたりしなければなりません。更に、同じ端末で、GPS、BlueTooth、WiFi、ワンセグ等の為の、別の周波数もサポートしなければならない場合が多いので、端末ベンダーさんは設計についても購買についても大変苦労が多いのですが、これは無線関連のビジネスをやっていく上では当然のことであり、そんなことで愚痴をこぼしているベンダーさんは一社もありません。

ソフトバンクは端末や基地局の設計や製造を自分でやっているわけではありませんから、この辺についてはベンダーさん任せですが、異なった商品企画について異なった要求を出しており、ベンダーさんからはおおむね快く協力を頂いております。

不思議なのは、「反論」の筆者の言っておられるウィルコムさんの次世代PHSについての「調達協定」なるものです。まだ仕様も固まっておらず、フィールドテストも出来ておらず、12月末までは免許が下りるかどうかもわからなかった筈の次世代PHSについて、2.5GHzから2GHzへの周波数の変更もままならないような、「がんじがらめの大量の調達協定」なるものがもし存在していたとしたら、世紀のミステリーというしかありません。(ベンダーが京セラさんなのなら、お問い合わせしてみてもいいのですが・・・。)

そもそも、看板通りの厳正な比較審査が行われ、結果としてもしウィルコムさんが落選することになった場合は、ウィルコムさんは「巨額の違約金」を払ってこの「調達協定」をキャンセルする腹積もりだったのでしょうか? それとも、実はとっくの昔に総務省との間で裏取引が出来ており、比較審査などと言うものは世間を騙す茶番劇だったということなのでしょうか? 「反論」の筆者の言い方は、あたかもそうであったかのような誤解を与えるものであり、総務省やウィルコムにとって甚だしくご迷惑なものではなかったのでしょうか?

<WiMAX間の干渉とガードバンドの必要性について>

「同じ通信システムであれば干渉の回避がたやすくなる」ということは、無線通信の世界の常識ですから、まさか「反論」の筆者が「初めて聞いた」なんてことはないでしょう。現実に、「反論」の筆者は、「送信タイミング(同期)やシンボルレートを一致させることの必要性」までちゃんとわきまえておられるのですから・・・。周波数を少しでも有効に利用するためには、隣接する周波数を使う通信事業者同士が緊密に連絡すべきは勿論であり、もしこれを怠るような不届きな事業者がいれば、当然総務省が指導するでしょう。また、このようなアレンジメントはそんなに難しいことではありません。「反論」の筆者は、「同期をとること」などが、気の遠くなるほど難しいことであるかのようにおっしゃっておられますが、それなら、同じ事業者が隣接するいくつかのチャンネルを使っている場合は、各チャンネルをどのようにコントロールしているのでしょうか?

これについても、pataさんが指摘しておられるように、WiMAX同士なら隣接のサービス同士できちんと同期を取っておけば、ガードバンドは最悪でも1MHz以下で済むはずです。干渉の問題は常に白黒がはっきり出来ないグレーな問題ですが、「ガードバンドの必要性を最小限に抑えるためには、同じ通信方式を使う事業者を隣り合わせにするのがよい」という考え方は、常識中の常識です。つまり、WiMAX事業者が2社隣接している方が、WiMAXではない通信方式を使っている事業者が隣にいるよりも、はるかに良いことには間違いはないのです。

なお、ご参考までに追記させていただきますが、現在のWiMAXはセルエッジに問題が多いので、昔のハネコム構成のシステムのように、隣接するセル間では周波数を変えることになっています。つまり、同じ事業者でも周波数を最低3通りに分けて使う(30MHzの帯域幅が得られれば、これを10MHzずつに分けて使う)わけです。この周波数間では勿論ガードバンドなどは取りません。

<誰がエゴかという問題。その他、ビジネス全般に関する問題>

「反論」の筆者は、「ソフトバンクは2GHzのIPモバイルの跡地は使えない(十分な隔離がない為に極めて使いにくい)」という私の説明を、勝手に「嘘だ」と決め付けてしまったので、ここでも私の論理が理解できなくなってしまったのだと思います。「2GHzは、ウィルコムは使えるが、ソフトバンクは使えない」ということを、前提として正しく理解いただいておれば、「お前たちの方こそエゴだ」というような筋違いの非難は避けられたと思います。

これにも関係することですので、この際、もう一歩踏み込んで私の考えの背景をご説明することにしましょう。このことは、「何故当初はあまり熱心とは見えなかったソフトバンクが、ある時を境に急にWiMAXの免許取得に熱心になったのか?」という大方の疑問にも答えることになると思います。

世間では、「大勢が不利なことが分かってきたので、なりふりかまわず反撃にでた」と言っている人がいるようですが、これは間違いです。我々は当初から、「どうも国としては、免許の一つは米国生まれのWiMAXに、もう一つは国産技術の次世代PHSに与えたいと考えているようだ」と当然理解していました。「ウィルコムも、『ドコモや旧アステルが返上した周波数帯を利用しながら、現在使っているシステムを徐々に次世代システムへと変えていく』というシナリオはあるにしても、それでは難しいところも多いだろうから、新しい周波数を使わせてあげなければ気の毒だ」という思いも、率直に言って我々にはありました。

それ故、我々は早い時点から、ドコモさんとKDDIさんに呼びかけ、「WiMAX用の免許は一本で、30MHzぐらいしか与えられそうにないから、インフラはみんなで一緒に0種として構築し、この上で誰でもがMVNOとして自由に競争していく体制を作りませんか?」と呼びかけたのです。しかし、残念ながら、ドコモさんもKDDIさんもこの我々の提案をすげなく拒否されたので、やむなく同じ考えのイーアクセスさんのみと一緒に申請することになったのです。勿論、この時点では、我々が免許を獲得出来る可能性はさして高くないかも知れないことは承知していました。

しかし、その後IPモバイルの免許が返上される見込みとなったので、「あ、これなら、ウィルコムがこの周波数帯を使ってやっていける道が開けたわけだ。(ウィルコムにとっては決して大きなマイナスにはならない筈だ。) ウィルコムを助けていかなければならない総務省も、これで気が楽になるだろう。そうなると、WiMAXが二枠取れる可能性が現実的になったわけだから、WiMAX内での自由競争を担保する為にも、我々自身が何としても免許を取らなければならない」と考えるに至り、一転して「超積極姿勢」に転じたわけです。

何故、「我々がやらなければ自由競争が担保できない」と考えたかと言えば、我々以外には、どこからも「MVNOについての明快なコミットメント」が出されていなかったからです。特にKDDIの場合は、一貫して「あくまで自社がコントロールすること」を主張しており、社長に法人事業部門のトップの田中さんを持ってきたことにも見られるように、「最終サービスを自ら行うこと」に力点を置いた形になっていました。

pataさんは「ソフトバンク陣営もMVNOについどこまでオープンなのか明確でない」とコメントされていますが、これはおそらく我々の資料をよく読まれていないからだと思います。我々は、「インフラ運営会社(OpenWin)は自ら最終ユーザーへのサービスの提供を一切やらない。全てはMVNOがやる。ソフトバンク自身もMVNOとしてやる。数量などの条件が同じである限り、OpenWinの株主であろうとなかろうと、全てのMVNOは全く差別されることなく、同じ条件でビジネスが出来る」ことを明確に謳っています。これ以上の「オープンな体制」があるでしょうか? 「MVNOをやります」というだけでは、全く意味をなしません。べらぼうに高い値段をだされたり、その他の差別的な条件をつけられたりしたら、MVNOは商売にならないからです。このように、申請が受け付けられた時点では、我々のMVNOについてのコミットメントと他社のコミットメントでは、天と地ほどの差があったことをご理解いただきたいと思います。

大局的な議論をするなら、今回のように限られた周波数を分ち合うという局面では、みんながエゴを前面に出して、お互いに何も譲らなければ、建設的な話は何も進められなくなります。「業界としての最大多数の最大幸福」を担保する「何らかの落しどころ」を、みんなで考えねばならないのが当然です。綺麗事に聞こえるかもしれませんが、我々は、本件については、終始一貫、「優等生」の提案をしてきたと、本気で考えています。つまり、当初は「相乗りによる0種構築」の提案であり、2GHzも使えることが分かった最終段階では、「使えるところが2GHzを使うことによって、公正環境の実現を最大限に担保する」という提案です。この考えに、何かおかしいところ、身勝手なところがあるでしょうか? それ故にこそ私は、「どう考えても、我々が当選しなければ世の中おかしいと思いますよ」と申し上げてきたわけであり、「反論」の筆者に「あなたの頭の中がおかしい」と罵倒される筋合はないと考えています。 

<ITUによる帯域の割り当て>

上記についての議論と同じ項目で、「反論」の筆者は、「IMT-2000向けの帯域」という言葉をよく使っておられますので、あまり重要なことではありませんが、このことについても、一応解説をしておきたいと思います。 (「反論」の筆者はあまり歴史的背景をご存じないようなので・・・。)

2.5GHzも、もともとITUではIMT-2000バンドとして規定されておりました。そして、この議論が始まった時点では、WiMAXはIMT-2000としては認められていなかったのです。(IMT-2000としてITUに認められたシステムはW-CDMA、CDMA2000をはじめとする六つのシステムであり、WiMAXが仲間入りできたのは、ごくごく最近のことです。)しかし、この帯域の日本での免許方針を決めるにあたって、総務省は、「この前提は無視しよう」ということを決め、これに対しては誰も反対しなかったので、初めからWiMAXも次世代PHSも(更には京セラさんが力を入れていたiBurst等も)対象になったのです。従って、IPモバイルの跡地の2GHz帯についても、2.5GHzの時と同様、総務省が単純に「別にIMT-2000でなくともよいですよ」と決めれば済むことなのです。(これには誰も反対するとは思えません。)

<1.7GHzの問題>

「反論」の筆者だけではなく、本件に関係する議論の中では、「ソフトバンクは1.7GHzを申請しておいて、途中で方針を変更してこの免許をドブに捨てた。これは無責任だ」といった趣旨のことが、よく言われていますが、これもひどい話なので、この機会に一言解説させていただきます。

ソフトバンクは1.7GHzの免許を取得しましたが、もっと早く且つ大規模に事業を展開したかったので、これと並行してボーダフォンとMVNOの交渉をしていました。しかし、MVNOの条件が折り合わず、そのうちに先方から「いっそ買収しないか?」という提案があったので、一大決心をしてこれを受けることにしたのです。「反論」の筆者は、もしかしたら、「そういう方針転換は無責任だ」と言おうとしているのかも知れませんが、もしそうだとしたら、この方は事業とかビジネスというものを全く理解していない方だということになりますから、そうでないと信じましょう。

実はソフトバンクは、ボーダフォン買収後も、将来の拡張のために1.7GHzはそのまま保有しておきたかったので、その旨総務省にも話しました。しかし、総務省の方から、「そういうわけには行きません。二兎を追っては財務的にも無理が生じるし、そもそも免許を与えた時の前提が変わったのだから、一旦返上しなさい」と言われ、この指示に従ったのです。この件について、ソフトバンクのやったことのどこに落ち度があるというのでしょうか?

<「国際的な取り決めに」ついての議論>

前項でご説明済みのことが多いので重複は避けますが、ソフトバンクグループの各社はITUの諸活動には常時参加していますし、私個人も以前は日本ITU協会のセミナーで講師を務めていたほどですから、「反論」の筆者にわざわざITUの意義をお教え頂く必要はありません。しかし、一般論としては、「日本はITUの取り決めを金貨玉葉にしすぎているところがある」ということは言えると思います。欧米諸国はもっとしたたかで、「ITUは利用できれば利用する。利用できなければ極力無視する」という態度です。(特にアメリカはそうです。) これが良いことだとは言いませんが、何よりも優先すべきは「国民(利用者)の利益」であり、ITUの取り決めに杓子定規に縛られて、国民の利益を犠牲にすることは意味のないことです。

<KDDIの「技術力」に関する問題>

我々は、今後何か大きな状況の変化が起こらない限りは、KDDIによいネットワークを作って頂いて、MVNOとしてビジネスをさせて頂くことを期待せねばならない立場ですから、この問題について、ここで議論するのは差し控えさせて頂きたいと思います。

現時点では、残念ながら、私の考え(危惧)には変わりはなく、KDDIさんがWiMAXに関連することで特に技術的に進んだことを考えてやってこられたとは思っておりません。 例えば、一昨年の末に、WiMAXの技術諸元についてクアルコムとインテルが技術論争をした時に、KDDIさんからは「シミュレーション上はそうかもしれないが、フィールドトライアルではもっと良い結果が出ている」という発言がありましたが、その「シミュレーションを超える良い数値」については、「ベンダーとのNDAに抵触するから」という理由で、ついに何の開示もなされませんでした。こういうことは技術の世界では考えられないことであり、これが私の不信感の原因の一つになっていることだけをご参考までにお伝えしておきます。 

しかし、もしKDDIさんが、本当に世界を驚かすような技術で、最終的に立派なWiMAXのネットワークを作っていただいたとすれば、その時には、これまでの失礼についてはきちんとお詫びをし、KDDIさんの実力について賞賛を惜しむつもりはありません。

<私がソフトバンクに来た理由>

ソフトバンクのやり方については、いろいろな局面で賛否両論があることは理解していますし、「とにかく生理的にソフトバンクが嫌い」という方々がおられることも理解しています。 しかし、「反論」の筆者によってもたらされたような間違った情報で単純に痛快がっておられるというのでは、間違った大本営発表で日本が勝っていると喜んでいたのと同じで、あまりよいこととは思えません。

私は、本件については、これまで言ってきたことを撤回するつもりは全くありませんし、それで「恥をばらまいている」などとは一切思っておりません。私の発言のどこかに「恥ずべき議論」があると、もし今なおお考えなら、具体的にご指摘いただければ有り難く存じます。逐一ご回答いたします。

なお、私は、自分が「孫さんの下僕に成り下がった」などとは思っておりませんし、今後ともそのつもりはありません。
そのことに関連し、この機会に、「何故私が一昨年の秋にソフトバンクに参加したのか」につき、もう一度ご説明したと思います。

私は伊藤忠に34年勤めた後に独立し、コンサルタント業を二年間やった上で、1998年にその顧客であったクアルコムの日本法人を立ち上げました。幸いにしてよい後継者を得たので、2006年の初頭には日本法人の社長を辞めて米国に拠点を移し、人生の最後の仕事として、「発展途上国のデジタルデバイドの解消」に関連するプロジェクトに取り組もうと考えておりましたが、孫さんに誘われて考えを変え、日本に舞い戻ってソフトバンクに参加しました。

私は「お金の為にソフトバンクへ行った」などとは誰にも思って欲しくなかったので、入社にあたっては、「年収はこれまでより大きくならないこと」を条件として提示した程です。孫さんの誘いに乗った理由はただ一つ、「この人なら、もしかしたら、既得権益を中心にまわっている日本の情報通信業界に大きな風穴を開けることが出来るかもしれない」と考えたからに他なりません。

孫さんのやり方には賛否両論があることはよく理解しています。また、私とて、孫さんが言ったりしたりしていることの全てに賛成であるわけではありません。しかし、孫さん以外に、これまでの通信行政のあり方や通信事業者の仕事のやり方に、必要となれば真っ向からアンチテーゼをぶつけ、且つそれをやり抜ける人がいるでしょうか?

通常、業界第三位の会社が存続し、のし上がっていくことは至難の技と言われています。今ソフトバンクがやろうとしていることは、無謀と言われてもいいぐらいの大きなチャレンジです。しかし、「もしこういう会社がなかったら、日本の情報通信産業はどういう道をたどっていくのだろうか?」と考えると、私としては、「孫さんの可能性に賭けた」のは、やはり正しかったと思っています。

孫さんも人間ですから、勿論欠点も多々ありましょうが、その並外れた度胸とエネルギーには、正直に言って目を見張るものがあります。(私は45年以上ビジネスの世界に身をおき、いろいろな人を見てきましたが、このような人は何年に一度出るか出ないかでしょう。) また、彼の事業欲の根源は、間違いなく極めて純粋なものです。孫さんのようなタイプを嫌いな人も多いでしょうが、こういうタイプの人のプラス面を見て応援していかなければ、日本の産業界はなかなか閉塞状況から抜け出せないような気がします。特に通信業界についてはそう思います。(寄稿)

コメント(1)

sam :

技術的な事には詳しくありませんが、
AIR-internet-EDGEさんの意見は的を得ているように思えます。

> わざわざ(笑)マークを入れて私を嘲笑されていますが、この方はおそらく、「顧客の求めるものを

供給する」というビジネスの基本を、全くご理解されていない方なのでしょう。
SBMにどのような概念を持った上で投稿しているか分かっているかと思います。ましてや個人投稿なの

ですから、その点に揚げ足を取っても仕方ないのでは?
ましてや、SBMが他社に対する優位性をアピールする時の言動の使い方を見れば・・・。

> IPモバイル跡地周波数
どの事業者がとっても、ガードバンドは必要なものではないのですか? その点が理解しがたいです。
どちらにせよ勧めるぐらいなら御社が使っても良いのでは。
通信方式が同じでも異なっていても他事業者との狭間のガードバンドはついて回ってると思うのですが。
本当に影響するならフィルタリングの努力でしょう。


> エゴについて
当時のSBMの動向と見比べると、後付のように見えてしまいます。

>1.7Ghzの問題
ビジネス上の判断として、正しい主張だと思います。
ただ、新規でリングに上がってきてくれることを期待していたので、そういう意味でVodafoneという既

存キャリアを吸収したのは、一個人として残念に感じました。
お陰様でイーモバイルは孤独に晒されてかわいそうですよ。

ところで、このSBIビジネスブログの趣旨とズレた内容で怒られないんですか?

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