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   産婦人科医不足/産む環境が崩壊する一方だ(2月7日付)

 県立南会津病院(南会津町)は2月末で出産の取り扱いをやめ、3月末で産婦人科を休診することにした。常勤医が退職することになり、後任医の確保も難しいためだ。

 同病院は南会津地方で産婦人科を一手に引き受けており、同科の休診は妊婦や患者にとって深刻な事態だ。これから子どもを産もうと考えている家族にも大きな影響を及ぼそう。身近に安心して産める環境がなければ、子育てはおろか人口の定着もおぼつかない。地方の将来にもかかわる大きな問題だ。後任医をできるだけ早く見つけて地区の不安を解消してほしい。

 南会津病院では本年度から常勤医二人で出産を扱ってきた。2006年度の扱いは142件。本年度は昨年12月末現在で113件だった。しかし、常勤医が退職することになり後任が見つからなければ診療の継続はできない。頼みの綱は福島医大ということになるが、同医大も付属病院の産婦人科維持に精いっぱいの現状。他病院に医師を派遣することは難しいという。

 南会津町中心部から会津若松市まで車で片道約1時間かかる。往復2時間だ。もっと遠い地区もある。このままでは妊婦や患者は体力的、精神的ばかりでなく財政的にも負担を抱えて通院しなければならない。都市部では考えられないことが現実に起きようとしている。これを医療格差の拡大と呼ばずに何と表現すればいいのだろう。

 問題は南会津地方だけにとどまらない。会津坂下町の坂下厚生総合病院では1月末で、すでに出産の取り扱いを中止した。1人いた常勤医の転勤に伴うもので、4月から婦人科のみを非常勤医師が診るという。このため会津地方で3月以降に子どもを産める病院は会津若松市内の2病院だけになる。何とも心もとない限りだ。妊婦健診への影響を懸念する自治体も出ている。

 県全体でも産婦人科医不足に歯止めがかからず、産婦人科の廃止や休止などが相次ぐ。県内では2006年度末で出産を扱う病院は31あったが、本年度末には21までに減ることになる危機的な状況だ。

 県立では会津総合(会津若松市)と大野(大熊町)で出産の扱いをやめており、今回の南会津病院の休診で県立病院では出産できなくなることになる。残念ながら、県内でも産む環境は崩れる一方にあると言わざるを得ない。

 医師不足は病院の経営も圧迫する。県立病院をはじめとした公立病院のほとんどは累積赤字を抱え、抜本的な改革が迫られている。

 産婦人科医ばかりでなく、小児科医や救急医不足も著しい。国や県でも対策を図るが医師不足はすぐには解消されない。現状を見据えての地域医療の立て直しが急がれよう。

 
   
 

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