検査怠り死亡 因果否定/過失認定も請求棄却
【沖縄】二〇〇三年二月にクモ膜下出血を発症し、国立療養所沖縄病院へ救急搬送後に死亡した女性=当時(43)=の遺族が、担当した医師が頭部CT検査の義務を怠ったことが死因になったとして、同病院を運営する国に約一億一千三百万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が七日、那覇地裁沖縄支部で言い渡された。河合芳光裁判長は頭部CT検査をしなかった医師の過失は認めたが、死亡との直接的な因果関係はなかったとして、遺族の請求を棄却した。
裁判では女性が搬送された時点での医師の過失と、死亡との因果関係が争点となった。河合裁判長は医師が当初、女性の症状を細菌感染と誤認し、頭部CT検査を行わなかった過失を指摘。
その上で、鑑定医の意見などを踏まえ、「クモ膜下出血が早期に発見されていたとしても、直接の死因となった脳血管れん縮の予防や治療をできたとはいえない」として因果関係を否定した。
判決後、亡くなった女性の夫(49)は「(医師に)過失があったのに、裁判所はどうして因果関係がないと言い切れるのか。こんな判決ではまた同様のケースが起きるかもしれない。妻も無念に思うはず」と声を震わせた。
判決などによると、女性は〇三年二月三日に体調が悪くなり、同病院に入院した。担当した医師は頭部CT検査を行わなかったが、同二月五日の検査でクモ膜下出血であることが判明。別の病院へ搬送されたが、同二月十四日に死亡した。