救急医療用ヘリコプター(ドクターヘリ)の全国的な配備について、半径50〜75キロメートルを守備範囲として、国内に49カ所配備する考えを「救急医療用ヘリコプターの導入促進に係る諸課題に関する検討会」(座長=山本保博日本医科大学主任教授)の委員らが2月7日、同検討会に示した。救命救急センターがあっても搬送に時間がかかる地域をフォローすることがねらいで、都道府県ごとに最大1カ所配備するとしてきた従来の考えを改めた。厚生労働省は今後、都道府県が医療計画の中でドクターヘリの位置付けを考える際の参考として示していく考えだ。
ドクターヘリについては、2006年6月に「ドクターヘリを用いた救急医療の確保に関する特別措置法」が議員立法で成立。助成金交付事業を定めるなど、全国的にドクターヘリの配置を進めることによる救急医療の確保を求めていた。厚労省は01年度から一定の基準に基づいて都道府県のドクターヘリ事業の半額を負担するドクターヘリ促進事業を展開してきたが、同法の成立で各都道府県に1カ所配備するとしてきたこれまでの方針を見直す必要が出てきたため、検討会を設置して議論してきた。
岡田眞人委員(聖隷三方原病院救命救急センター長)は、陸路での救急搬送の平均時間を下回らず、医師が早期に治療を開始できるようにするためには、ドクターヘリの守備範囲は半径50〜75キロメートルが妥当と算出。その上で、益子邦洋委員(日本医科大学附属千葉北総病院救命救急センター長)は、離島・へき地なども含めて国内をカバーするには、国内に49カ所程度の配備が必要との試算を示した。北海道や沖縄など救命救急センターが少ない地域では守備範囲を広く取ることで物理的なアクセスを確保し、人口の多い都市圏では救命救急医療への機会を確保するために半径を短く設定するなど、地域の実情に応じた配備が必要とした。
都市部などで守備範囲が重なっている地域があることについて、泉陽子委員(茨城県保健福祉部長)は、「守備範囲がオーバーラップしていると、補助金を付けることについて県民に説明しづらい。行政としては救急医療へのアクセスが悪い所が優先度が高くなる」と難色を示した。これに対し、岡田委員は、「都市部でも救急の需要はある。ドクターヘリはへき地医療だけでなく都市部への対策でもある」と反論し、1分でも早く重症患者が処置を受けられることの重要性を訴えた。
■ドクヘリ購入費用などの助成事業、来年度中に
ドクターヘリの購入費用などのインフラ整備費用や、同乗する医師らの人件費などを助成する民間からの拠出金を財源にした助成金交付事業について定めた省令が4月に施行する。厚労省は近く省令案をまとめ、パブリックコメントを募集する。来年度には事業を実施する予定だ。
ドクターヘリ措置法では、公益法人などの営利を目的としない法人が、病院開設者に対してドクターヘリの運行に関する費用などを助成する助成金交付事業を実施するとしている。
法人の基準として、救急医療に関する理解や活動実績があることのほか、ドクターヘリを活用した救急医療を継続して実施する事業計画を立てていること、活動地域に偏りがないことなどを挙げた。事業の実施状況を厚生労働大臣に毎年度報告し、基金の使用については第三者組織の意見を聞かねばならないことも盛り込んだ。
助成対象は、ドクターヘリの維持に関する費用のほか、運行司令設営、医療機器などの基盤整備費など。搭乗する医師や看護師、操縦士などの人件費、医療材料費などの運行環境も対象になる。研修費用や運営委員会の会議費、夜間飛行の安全の検証などの研究費のほか、普及啓発事業にも助成する。
更新:2008/02/08 13:58 キャリアブレイン
医療ニュースデイリーアクセスランキング
※集計:2/7
医療ニュースアクセスランキング
※集計:2/2〜2/7