大分市のキヤノン工場建設をめぐり東京国税局から鹿島が所得隠しを指摘された問題で、工場用地の土地造成を鹿島に発注した県土地開発公社は7日、造成業者に鹿島を選定するように県公社に配慮を求めたキヤノンの文書を公開した。県公社は「鹿島選定の方針を決めた後、キヤノンに意見を求めたところ回答を文書で得た」と説明、問題はないとの考えを示した。

 情報公開を請求した「おおいた市民オンブズマン」は「意見を求めた文書が存在せず、(説明の)証拠はない。文書は回答でなく、鹿島選定を求める要請ではないか」としている。

 県公社は2003‐05年、大分キヤノンと大分キヤノンマテリアルの2工場用地(計約80ヘクタール)の土地造成を鹿島に発注。約79億8000万円の随意契約を結び、造成後にキヤノンへ計約94億円で売却した。

 文書は2工場用に03年11月と05年7月の2枚。いずれもキヤノン常務から県公社理事長あて。「技術力がある業者の選定が不可欠。鹿島はキヤノン工場用地を短期間で成し遂げた実績がある」として鹿島選定に「特段の配慮」を求めた。

 県公社の説明では、03年11月と05年6月に選定方針をそれぞれ決め、県出納長を通じてキヤノン常務に電話で意見を求めたところ文書で回答を得たという。オンブズマンは「口頭で意見を求めたのは不自然。信用できない」としている。

 また、オンブズマンは、工場の土地造成をめぐって県が県公社に18億円を補てんしたのは違法として、広瀬勝貞知事らに県に補助金を返還するよう求める住民訴訟を来週にも大分地裁に起こす方針を明らかにした。

=2008/01/08付 西日本新聞朝刊=