【グアム・6日】プロボクシング帝拳ジムの東洋太平洋ミドル級王者・佐藤幸治(27)ら9選手がキャンプ地で幼い命を救った。グアムキャンプ7日目の早朝練習後、宿泊するホテル施設内の池に1歳ぐらいの韓国人の男の子が誤って転落。居合わせたボクサーたちが迅速な連係で救命措置を施し、幼い命をつなぎとめた。
事件は現地時間午前10時ごろ起こった。ベビーカーに乗せていた幼い我が子を見失ったと、母親が叫びながら右往左往。ただごとではないと感じ取った帝拳の9選手と大和心トレーナーは即座に捜索を開始した。池で意識を失って浮いている幼児が発見され、家族があわてて引き上げると選手らは一目散に施設内を走った。救急車の手配、各所への連絡…。佐藤はホテルのフロントに事態を告げると猛ダッシュで現場に戻り、意識のない子どもへの心臓マッサージを始めた。数分後に子供の呼吸が戻ると、周囲からは拍手が起こった。
実は佐藤は帝拳ジム入門前の04年まで自衛隊に所属。「少し習った程度」というが瞬時の判断で、心臓マッサージを施した。アマチュア13冠の王者は「自衛隊にいてよかった。助かって本当によかったですよ」とホッとした表情。佐藤や大和トレーナーはもちろん、粟生、松田、五十嵐、矢代、亀海らの見事な連係プレーで病院に運ばれた幼児は無事、一命を取り留めた。
お手柄の選手たちは疲れも見せず、午後も走り込み中心のトレーニング。「試合にどんどん勝ってランキングを上げていきたい。来年くらいには勝負したいですね」幼い命を救った佐藤は、世界でも激戦区のミドル級での王座奪取へ気持ちを新たにしていた。
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