【沖縄】2003年に国立療養所沖縄病院に緊急搬送された女性=当時(43)=を、くも膜下出血確認のための頭部CT検査をしなかった過失で死亡させたとして、遺族が国を相手に約1億1300万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が7日、那覇地裁沖縄支部であった。河合芳光裁判長は同病院の医師がCT検査をしなかった過失を認めたが、過失と死亡との因果関係は認めず原告の請求を棄却した。遺族は「誤った診断をされ、適切な治療をされないことが許される国なのか」と判決に不満を示した。控訴は弁護士と相談して検討するという。
訴状などによると、女性は03年2月3日午後9時30分ごろ、同病院に緊急入院。嘔吐(おうと)を繰り返していたが、病院は血圧降下剤の投与を行うにとどまっていた。
5日に病院側が細菌感染を疑い骨髄液の検査を行った際に髄液に血が混ざっていたことから脳内出血を起こしていたことが明らかになった。その後、入院して初めてのCT検査でくも膜下出血が認められ他の病院に転院し手術を受けるなど治療が施されたが転院から9日後に死亡した。
河合裁判長は判決文で、患者の当時の状況から「医師には、くも膜下出血の有無を確認するため直ちに頭部CT検査をする義務があった」と過失を認定した一方、くも膜下出血発症後72時間以内にされる手術はどの時点でも差がないとされていることなどを挙げ、「過失がなかったとしても死亡時に生存していたということはできない」として死亡との因果関係を認めなかった。
(2/8 9:52)