ジョージア州アトランタ(AP) 米疾病対策センター(CDC)の研究者は6日、ボストンでの学会で、母親が咀嚼(そしゃく)した食べ物を子供に与えることで、エイズウイルス(HIV)が感染した症例が、米国内で1993─2004年に3件あったと報告した。
3件のうち2件の感染源は、だ液ではなく歯肉など口腔内の出血による血液だとしている。
初めての症例は1993年に、マイアミで感染が確認された生後15カ月の、アフリカ系の男の子だった。大おばがHIV感染者で、男の子が9カ月から14カ月の間に、かみ砕いた食べ物を与えていた。
マイアミでは1995年にも、カリブ系の3歳の男の子で、HIV感染が判明。HIVに感染している母親が、先に自分でかんだ食べ物を食べさせていた。
3番目の症例は2004年、テネシー州メンフィスで、生後9カ月のアフリカ系の女の子だった。女の子が生後4カ月ごろから、HIV感染者の母親が咀嚼した食べ物を与えていたという。
赤ちゃんは3人とも、歯が生え始め、歯肉が炎症を起こしていた時期に感染していたという。この2つの条件がそろって、感染しやすくなったと見られている。
研究者は、母親があらかじめ食べ物をかみ砕いて子供に食べさせる習慣は、発展途上国などで見られると指摘。これまでに、胃がんの原因になる可能性が高い細菌、ヘリコバクター・ピロリなどの感染が確認されている。
研究者は、11年間で3例を確認したが、実際にはもっと多くの子供が感染している可能性があると見て、咀嚼した食べ物を子供に与えるのはやめた方がよいと話している。