高揚感は持てませんでした。五日に答申された岡山県の新たな環境基本計画の地球温暖化対策についての思いです。
県内の温室効果ガスの排出が急増し、県の削減目標から大きく遠のいている現状に懸念は示されましたが、大胆な目標設定や施策展開は見られません。独自の排出権取引制度創設など、国をリードする対策に乗り出す自治体も出ている中で、物足りなさがありました。
こうした見方を含めて、新環境基本計画をめぐる審議の動きは随時、意識して紙面に掲載してきました。記事に対して関係者らから不満も聞かれ、一方で激励もいただきました。まさにこうした議論を起こす問題提起になれば、との思いがありました。
政策決定の結論を伝えるだけでなく、途中過程を記事にして議論を深めていくことは、新聞の果たすべき重要な役割だと考えています。
環境問題という関心の高いテーマだったこともあり、今回、計画案に対して多くの県民意見が県に寄せられました。それらに基づき県が内容を次々修正しました。こうした住民と行政のやりとりが、多くの政策分野で求められます。その仲介役に新聞記事がなれればと思います。
温暖化対策でいえば、施策が進まない背景には、予算や権限が伴っていない問題があるでしょう。そういう根本に踏み込んだ指摘ができるのか、新聞の力量が問われるところでもあります。
良くも悪くも読者に響く、いわば“毒にも薬にもなる記事”。誤解を恐れず端的に言えば、こんな記事の提供が目指すところです。
(政治部・岡山一郎)