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医療保険情報:市町村に伝達 厚労省がシステム整備へ

 厚生労働省は医療機関の未収金対策として、退職し組合健保など医療保険から抜けた人の情報を、即座に国民健康保険(国保)を運営する市町村に伝えるシステムを08年度中に整備する方針を決めた。無保険の人が医療費を払えず、医療機関の未収金が増えているためで、情報提供を受けた市町村に当事者への国保加入を働きかけてもらい、保険の未加入期間を生じさせないことを目指している。

 年金の場合、会社を辞めて厚生年金の資格を失った人の情報はすぐ社会保険庁に伝わる。社保庁はそうした人に国民年金への加入を働きかけているが、政府管掌健康保険や組合健保の資格を失った人の情報が市町村に届くシステムはない。

 このため厚労省は、社保庁に厚生年金の脱退情報が伝わると同時に、市町村にも転送できるシステムをつくることにした。厚生年金を抜けた人は政管健保や組合健保の資格も失う。市町村に年金の情報を伝えれば、国保加入を働きかける対象者が分かると考えた。

 退職者は国保に入らないと無保険状態となるが、それを知らず会社員当時の保険証で受診する人は多い。その場合医療機関が支払い基金に診療報酬を請求した段階で初めて無保険と分かり、基金、患者双方から徴収できないまま泣き寝入りする例も目立つという。

 国立病院機構が運営する146施設の未収金債権は07年7月現在41億300万円に達し、1施設あたり2810万円にのぼる。病院の加盟団体が5570病院を対象にした調査(回収率58・8%)でも、04年度の未収金は約219億円。94%の病院が未収金を抱えていた。【吉田啓志】

毎日新聞 2008年2月8日 2時30分

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