消費者重視と言うが2008年02月07日 福田政権は、今後政策の主眼を消費者に向けるため、「消費者庁」のようなものを置き、消費者行政の一本化を図りたいという。しかしその真意を疑う事例が目立つ。 今回の予算関連法案のうち、ガソリン税については民主党が暫定税率廃止を主張。これに対して自民党は何が何でもこれを継続したいとして、一時は「つなぎ法案」まで出してきた。野党の強い反発で結局取り下げたが、このドタバタ劇は、消費者の利益よりも、地方の一部業者への利益誘導、財政当局の意向を重視する政府の姿勢を示した。 この問題の本質は原油高で国民のエネルギーコスト負担が大きくなっている時に、時限立法で高くしていた暫定税率を下げて国民の負担を軽くするか。あるいは引き続き国民の負担によって道路財源を確保し、一部業者や関係職員の福祉・厚生を高めることに使うか、の選択であった。 個人への減税は、多くが貯蓄に回るので、税収が2兆6000億円減少する割に景気効果は小さい。それよりも、不要なものであっても道路建設に回した方がGDPは高まるという。短期的にはそうだろう。しかしGDPに良いことが、必ずしも消費者にとっての効用を高めることにはならない。 既に大企業の労働分配率は歴史的な低水準にあり、企業の利益が労働者に還元されていない。その上に消費者の利益を犠牲にして一部業界の利益を優先することは、消費者重視をうたう政府にはそぐわない。 結局、消費者庁の設立は、新たに大臣や官僚にポストを与えるためのものとのそしりを免れない。政府にその気があれば、新たな組織を作らなくても、自ら関係大臣に指示をすればすむ。政府の肥大化、過剰関与が経済効率を損ねているのは、改正建築基準法、改正貸金業法、金融商品取引法などの影響を見れば一目瞭然(りょうぜん)だ。中国ギョーザが大きな政府の正当化に使われないことを願う。(千) PR情報バックナンバー |
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