ニチロの倉庫がおかしい
豚肉が消える―差額関税が日本の食卓を破壊する 価格:¥ 900(税込) 発売日:2007-06 |
この件、どっちかつーと食品偽装とかいうより加ト吉の循環取引系の手違いなんじゃないかと思うんだが、ニチロだ。ニチロというのは「日魯」であって、北洋漁業を主力として出発した会社だ。「あけぼの」印の缶詰で有名だが、去年、業界首位のマルハと経営統合してマルハニチロホールディングスを作っている。で、その巨大な会社で、何百トンもの豚肉がどこかに消えてしまった、というんだが。
「知り合いの業者から『ニチロの倉庫がおかしい』という話を聞いた。倉庫を調べたところ、保管していた豚肉はなく、倉庫の責任者だった所長は直前に本社に転属していた」
社長は昨年9月、都内の別の食品卸業者2社から計約280トン(約9100万円相当)の豚肉を購入した。
購入直前、社長は豚肉が保管してあるニチロの倉庫に電話をかけ、豚肉の種類や数量、賞味期限に加え、所有者の名義変更依頼が倉庫側に出されているかを確認。最終的に倉庫から名義変更の完了通知をFAXで受けとったため、相手の口座に代金を振り込んだ。
ところが、その豚肉が消えていたのだ。
他にも複数の被害者がいて、全部で3億円ものカネが「存在しない」肉のために消えてしまった。
仮に社員の業務上横領として、転売されたのならば、大型トレーラー百台近い台数が必要なはず。
…だとすれば、単独で可能な事件ではない。
組織的であるということだ。仮に詐欺事件ならば、有名食品会社、またはその幹部社員が関与していることになる。
この件については裏の裏は、表に出せないというサイトで名前を出さずに報じられていたんだが、コトの経緯を理解するには業界特有の風習を理解する必要がある。というのも、食肉業界では、こうした量の取引は
現物を確認しないで行われる事が多いのだ。なんせブツは冷凍庫に入っているし、重いし、出してもどうにもならない。で、預かり証を元に売買され、ペーパーだけが行き来する。末端に出荷する段階になってはじめて、倉庫から出すわけだ。冷凍肉の賞味期限は2年間ほどあるので、相場を睨んで何度も転売されたりするらしい。
で、可能性としてはいくつか考えられるわけだ。ニチロの主張としては、「倉庫の責任者である所長が書類を偽造した。こちらも被害者」と言ってるんだが、その本人を囲い込んで表に出さず、そのまま退職させてしまったわけだ。コレが正しいとすれば、まぁ、業務上横領だな。でもカネを払った方としてはそれじゃ納得行かない。深夜の埠頭でこっそり現金とブツと交換したわけでもあるまいし、正々堂々と業務として取引し、書類もかわし、そもそも毎月の倉庫代、つまり保管料も払っている。これじゃ、会社ぐるみの詐欺ではないか、というんでいよいよ裁判になるらしいのだが、ニチロの簿外取引についての疑惑は、去年から業界で囁かれていたらしい。
N社の簿外取引の疑惑が業界で噂されたのは昨年のこと。
(食肉速報)※10月19日付 大手水産会社の簿外取引、“35億円説”も(食肉業界) ※10月30日付 N社事件の第二弾(食肉業界)その際にも同様の不可思議な紛失事件なども起きているようだった。
……これを、どう説明する?
豚肉そのものが輸入されたのは確かな事らしい。で、転売される都度、名義変更受諾書が出されているんだが、どこかで品物が運び出されて闇ルートで売られて行ったのではないか? でなければまだ倉庫にあるはずなんだが、ないんだから間違いいない。で、そのカネはどこに消えたのか、まぁ、アレだ、冷凍食品業界の闇は深い、とだけ言っておくか。
で、この件とは関係ないんだが、毒入り餃子ショックで
肉のハナマサ大打撃というんだが、業務用スーパーでお馴染みの「肉のハナマサ」が、全102店舗のうち47店をいっせいに閉鎖という騒ぎで、ずいぶん手早いと思ったら、以前からハナマサの社長がアメリカ視察とか行ってて、中国食品が袋叩きになっているのを見ていたので、ある程度、今回の騒動を予期していたそうだ。ZAKZAKの記事なんだが、
さらに小野社長は、昨年春ごろから米国で強まった中国産食品へのバッシングを「現地で確認したがすごかった。日本もそのうちそうなる」と予想し、昨年夏までには中国産食品在庫をほとんどを処分した。このため、現在の毒ギョーザ騒動は「直接、関係ないですよ」と否定した。
もう、アレだな、どこのモノだか判らないような食い物を、ただ「安いから」という理由で追い求める時代は終わったという事だろう。
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