電力利用者が太陽光や風力など自然エネルギー発電の拡大を目指して寄付する「グリーン電力基金」が苦戦している。地球温暖化など環境問題への関心は高まりつつあるものの、全国の参加件数は2003年度をピークに年々減少。PR不足や制度の不備が要因だが、全国10電力の供給エリアで参加率は最大11倍も異なるなど、取り組みの温度差もうかがえる。

 グリーン電力基金は、2000年にスタート。一般家庭などの電力利用者が1口500円(関西電力は100円)を毎月の電気料金に上乗せして支払い、電力各社が上乗せ分と同額を拠出することで、自然エネルギー発電設備を助成する制度。

 参加件数は03年度末に全国4万3315件となったが、それ以降は年々減少。07年12月末は3万3940件にまで落ち込んだ。

 参加件数の減少は全国共通の傾向だが、参加率(従量電灯契約件数比)は全国電力10社で異なる。07年12月末の全国平均は0.06%。九州、東北は0.11%に対し、中部、北海道は0.01%と11倍の格差がある。

 減少の要因について、基金の窓口である各地の財団法人は「もともと電力会社員の参加が多く、退職を機に辞める人が目立つ」と分析。さらに、異なる電力会社のエリアに引っ越した場合、知らぬ間に契約が切れるといった制度上の不備も指摘する。だが、なぜ03年度以降減少したのかは「よく分からない」のが実態だ。

 九州地域産業活性化センター(福岡市)は「一般消費者への認知度向上のため、PR活動強化を検討する必要がある」としている。

=2008/01/29付 西日本新聞朝刊=