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中国軍が活動活発化 中印国境で 英字誌報道

2008年02月05日01時32分

 中国とインドの間の国境未画定の係争地で、中国軍の動きが活発化しているとの報道が、昨年後半からインドで続いている。インド政府は平静を装うが、中国側は行き詰まる境界画定協議を有利に進めるため「意図的に侵犯を繰り返している」との見方がくすぶる。

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 英字誌「インディア・トゥデー」が昨年10月、政府内部資料をもとに報じた記事が火を付けた。記事によると、中国軍による係争地への「侵犯」は2年間で300回。東西約3千キロの国境未画定の各地に及ぶという。

 インド・チベット国境警察のジョシ長官も地元記者団に「過去1年で141回、そんな出来事があった」と報道を裏付けるような発言をした。

 外務省筋は朝日新聞に「国境線に関する主張の違いで、インド側にとって『侵犯』と取れるケースは以前からあった。一帯は平静だ」と説明し、軍事衝突につながる可能性を否定。80年代後半から、経済面のみならず、昨年には初の陸軍合同演習をした中国との関係を悪化させたくないとの思いをにじませた。

 だが、報道は中国軍の活動が、従来にはなかった地域にも広がっていることに懸念を示す。中国が05年に「インドの領土」と認めたシッキム州や、双方の主張に隔たりの少ない北部ウッタランチャル州へも昨年侵入したという。

 インドもシン首相が1月31日、係争地の一つ、アルナチャルプラデシュ州を訪れ、中国側のインフラ整備に対抗する形で州内横断道や発電所の計画を発表。「ここは我々の日いずる土地だ」と述べ、牽制(けんせい)した。

 一方の中国は、国境問題について「両国関係に悪影響を及ぼしてはならない」(外務省)と、表立っての発言は避けている。だが、境界画定については「決して妥協しない」(中国政府系シンクタンク研究員)との立場を崩さない。

 インディア・トゥデーのシュクラ記者は「既成事実化した領域を実際に欲しい領域と交換するために使おうとしているのでは」とみる。

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