低レベル放射性廃棄物 研究・医療用の保管「もう限界」2008年02月05日12時55分 研究施設や医療機関など原子力発電所以外から出る低レベルの放射性廃棄物の各施設での一時保管が限界に近づいている。原発から出る低レベル放射性廃棄物の最終処分場に一緒に埋設処分することができないからだ。研究や放射線治療などに使われ、半世紀にわたり蓄積された低レベル廃棄物は、国内に200リットルドラム缶換算で約51万本に上る。文部科学省は処分場を確保するための関連法案を今月中に国会に提出することを決めた。
同省によると、低レベル放射性廃棄物は、研究施設の建物のコンクリートや配管、ゴム手袋、放射線治療用の注射器など。全国の病院や研究所、企業など約2500カ所に分散して一時保管されている。 各施設では、ドラム缶に入れて倉庫に保管するなどしているが、毎年1万本ぐらい増加している。すでに容量の9割以上になり、あと数年分の余裕しかない研究所もあるという。 このため、新たな廃棄物が発生する古い研究用の原子炉など老朽施設を解体できなかったり、ある企業では研究開発用に使い終わった後も年間数千万〜数億円の費用が保管のために必要だったりしている。 原発から出る低レベル放射性廃棄物は、92年から青森県六ケ所村の埋設センターで処分が始まっている。海外では米国や英国、フランスでは原発の廃棄物と同じ処分場に埋設しているが、日本は立地時の地元との約束で埋設できるのは原発などから出る廃棄物に限定されている。 文科省が提出する法案は、廃棄物の8割を持つ日本原子力研究開発機構を処分実施主体として本来業務に位置づける。事業費は約2000億円を想定、同機構に毎年約40億円を交付し、その他の機関からは処分する廃棄物の量に応じて費用を徴収する計画だ。 処分場は10年後の完成をめざす。その後、50年間で廃棄物を埋設、300年間管理する。埋設前に焼却したり、金属を押しつぶしたりして容積を半分ほどに減らし、埋設するのは最終的に53万本になる見通しだ。 それでも、処分場の面積は約1平方キロ必要になる。枠組みができれば新年度から候補地の選定を始めるが、住民の反対運動も予想される。 PR情報この記事の関連情報社会
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