一緒にいて安心できる家族や友人がいないなど、社会的な支えが少ない人は、脳卒中による死亡の危険性が高くなることが、厚生労働省研究班の大規模調査で分かった。研究班は「独居の高齢者も多く、孤立しないよう社会で支える仕組みが必要だ」と説明している。米心臓学会誌電子版に発表した。
研究班は93年から約10年間、茨城や高知など5県の40〜69歳の男女約4万4000人を追跡。期間中に脳卒中で327人、心筋梗塞(こうそく)で191人が死亡した。調査開始時に周囲の支えに関するアンケートを実施。▽一緒にいると心が落ち着き安心できる人はいるか▽週1回以上話す友人は何人か▽自分の行動や考えに賛成し支持してくれる人はいるか▽秘密を打ち明けられる人はいるか−−を尋ねて回答を点数化し、周囲の支えの程度別に4グループに分けた。
その結果、支えの最も少ないグループは最も多いグループより脳卒中による死亡が1.5倍に上った。男性は1.6倍、女性は1.3倍で、65歳以上の男性では周囲の支えが少ない人ほど脳卒中の発症も増えた。一方、心筋梗塞については関連はみられなかった。
研究班の磯博康・大阪大教授は「家族や友人が病気のストレスをやわらげたり、服薬や適切な食生活などを支えてくれることが病状改善につながっている可能性がある」と話している。【大場あい】
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