医師の名誉侵害 認定/久米島病院・配転
久米島病院に勤務していた外科医の男性(41)が、当時の院長らによる不当な働き掛けで県庁の事務職に配転させられたなどとして、病院を運営する県離島医療組合や県などを相手に慰謝料を求めた訴訟の判決で、那覇地裁は六日、元院長の一連の行為を違法行為と認定。原告男性の医師としての名誉を侵害したとして、同医療組合に百万円の支払いを命じた。県に対する請求は棄却した。
田中健治裁判長は、がん告知や病院の危機管理の在り方をめぐって男性と元院長の感情的な対立が深まった経緯を指摘。その上で「原告の考え方にも相当の理由があり、医師としての適性に疑問を挟むような事情ではない」と述べた。
男性の患者や家族、同僚に対する態度にも問題があったとする一方で、元院長が県や離島組合に医師としての適性がないとする文書を送付したり、地元の区長会に男性の辞任を求めるよう働き掛けたりした行為について「許容限度を超えている」とした。
男性は久米島病院から配転されて県福祉保健部で統計分析業務に従事。その後、八重山病院、八重山福祉保健所に異動した。男性側は県に「医師として不適格という離島組合の評価を追認し、医師としての信用を失墜させた」と主張していたが、判決は「裁量権の範囲内」と退けた。
県離島医療組合は、離島住民の医療確保を目的に、県と久米島町でつくる一部事務組合。諸見里安正事務局長は「主張が受け入れられていないところがあり、判決の内容を読み込んだ上で対応を検討したい」としている。