大鰐町立大鰐病院の常勤小児科医が4月から不在になることが6日、分かった。医師を派遣する弘前大学が不足する小児科医の集約化を進めており、現在の常勤医が転勤することが決まったため。弘大は交替で担当している土曜日の非常勤医派遣も取りやめる意向で、同病院は小児科の休止を避けるため、弘大と非常勤医派遣について交渉を続けている。
同病院小児科は1988年、弘大から非常勤医が派遣されて開設。98年に現在の常勤医一人が派遣され、98年度は1万253人、06年度は6791人の外来患者を受け入れている。現在は常勤医一人のほか、土曜日に弘大小児科医が交替で派遣されている。
同病院の後藤秀生事務長によると、現常勤医が4月に国立病院機構青森病院に転勤することになり、1月に報告を受けた。弘大は非常勤も含め後任を派遣しない方針で、後藤事務長は「平日1日だけでも非常勤医を派遣してもらえるか交渉している。弘大医局との結び付きが強く、弘大以外から後任を確保するのは無理」と話す。
また現勤務医は、転勤後も土曜日だけ同病院の外来を続けたいと申し出ているが、後藤事務長は「土曜日だけ外来を続けることが良いのかは判断が難しい」とした。
二川原和男町長は「小学生以上は内科でも対応できるが、容体が急変しやすい新生児や乳幼児への影響が心配。何とか継続できるように最善策を探っていきたい」と話した。
一方、弘大大学院医学研究科小児科学講座の伊藤悦朗教授は「県内では小児科が不足している。勤務医一人では精神的、肉体的負担が大きく、医療事故につながる可能性がある」と説明。「大鰐町は弘前市に近いので、(大鰐病院に)小児科がなくても対応できる。大きなエリアで重点化、機能分担を考えなくてはならないし、限られた状況下ではやむを得ない」と話した。