弘前大学医学部付属病院(花田勝美病院長)は6日、昨年12月に函館市からヘリコプターで搬送された女性が無事男児を出産、男児は産婦人科、小児科、小児外科が連携して手術を終え、順調に成長していると発表した。花田病院長は「連携が非常にうまくいった。今後も要請があれば、積極的に受け入れていきたい」と話した。
 函館市からヘリコプターによる同病院への患者搬送は初めて。搬送されたのは同市在住の女性で、胎児は腸が外に飛び出している「胎児腹壁破裂」と診断された。NICU(新生児集中治療室)や小児外科が置かれ、専門医のいる施設での出産が必要だった。
 弘大は函館中央病院から相談を受け、受け入れ態勢を整えたが、女性に切迫症状が表れたため、ヘリコプターによる搬送を決定した。昨年12月7日、函館市から岩木川河川敷へとヘリコプターで移動し、弘大病院に救急搬送。翌8日に帝王切開手術で男児を取り上げ、直ちに男児の手術も行った。
 同様の手術は同病院で年2、3回行われているという。周産母子センターの尾崎浩士副部長は「現在、男児は直接口からものを取っており元気。体重は約2千グラムで、2200から2300グラムほどで退院できる」と様子を紹介した。
 花田病院長は「県内で治療できたのは弘大だけ。周産母子センターや小児科、小児外科の連携があってできたことで、非常にうまくいった」と話した。そして、「限られた時間の中、ヘリコプターの搬送は大変有効だった」と振り返った。産科医や小児科医が減る現状にあって、「医師たちは感動したよう。将来、学生にも産科・小児科医療へ参加してもらいたい」と期待した。

【写真説明】海を越えて初めてのヘリ搬送でつないだ命のリレー