大阪府警西成署が、病院で治療を受けたばかりの男性を引き取った後、保護せず路上に連れていき、男性が凍死していたことが六日、分かった。男性は六十九歳の路上生活者とみられ、同署は身元確認を進めている。
警察官職務執行法は応急の救護を要する人を発見した場合、警察や病院で保護しなくてはならないと定めている。西成署の宮下啓二副署長は「病院の処置済みで会話ができた。セーターの上にジャンパーも着ており、保護の必要はないと判断した」としている。
調べなどによると、男性は大阪市浪速区の路上で酩酊(めいてい)状態で動けないとして、四日午後七時半ごろ、同市西成区の病院に運ばれた。急性アルコール中毒と診断され点滴を受けた。
午後十時ごろ、病院から西成署に「処置が終わったが帰らない。点滴を自分で外すなど暴れた」と連絡。男性は酔いはさめていなかったが自力歩行は可能な状態だった。
署員は男性を引き取り、病院近くの路上で別れたが、午後十一時ごろ「人が寝ている」と通報があり、再び男性を発見。約八十メートル離れた電車の高架下に連れて行った。「雨にぬれない所に行ってくれ」と頼まれ、高架下を選んだという。
約四十五分後、「人が倒れている」と一一九番があり、男性は別の病院に運ばれ、死亡が確認された。解剖の結果、凍死と分かった。
病院側は「署内での保護を頼んだつもりだった」と説明。急性アルコール中毒であることなど、経過を伝えて引き渡したとしている。
西成署は「『何とかしてくれ』と言われた。保護は頼まれていない。急性アルコール中毒とは聞いていなかった」と否定している。
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