根本療法は何か2008年02月06日 前例のない高成長を続けてきた世界経済も今や激動の時を迎え、これに対処するには、これまでにない知恵が求められている。問題の発生源がサブプライムローンのように、外生的なものであるために、ともすれば被害者意識が先に立つ。しかしその原因も更に掘り下げれば「素人をだますのはもっての外のはずのプロがアマチュアの無知につけこむ」ほど、利益のためには手段を選ばない生き方が当然のようになっている実態が浮かび上がる。だとすれば、それは他人事とは言えないし、対症療法はともかく、根本療法として何が必要かは自ら見えてくる。この試練を越える鍵は目的を最重視しての立て直し、ということではないか。その意味で日本の経済や経営に問われているのはやはり「格差問題」の見直しだろう。 日本は例えば戦後、産業部門からの所得を財政的に再配分して都市と農村の所得格差を縮小するための知恵を様々に工夫した。それは都市と農村がそれぞれの個性を互いに生かし尊重して、調和的な国の発展をめざす「目的」を共有していたということだろう。しかし、やがてそれらのシステムは本来の意味が忘れられ壁につき当たった。そのことを後知恵しつつ、産業が得手とする高い生産性を更に引き上げながら、それを国や社員に還元してゆく良循環を回復し、仕事を通しての成長や社会貢献という働きがいのある国づくりをめざす。そういう太い柱を立てることがまず呼びかけられているのではないか。 現実は、原油や資源高によるコスト圧力の中で、消費者や価格転嫁できない中小企業へのしわ寄せは強く、非正規社員の増加も止まっていない。国際的に見て割高な法人税を引き下げると同時に、経営の側では雇用者への還元を自主的に積極化して良循環の回復をめざすといった大わざの協調が全体として必要だと思うのだが、どうであろうか。(瞬) PR情報バックナンバー |
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