天につばした構造改革派の政策
もし、このまま国内自動車販売が減少を続ければどうなるか。外貨獲得のリーダー役である自動車産業が衰退してしまうだろう。自動車は、海外で売れればそれでいいというものではないのだ。中長期の経済政策として日本はだめになってしまう。
こうした現象について、わたしは、構造改革派が天につばした結果ではないかと感じている。
これまで、構造改革派の人たちは、グローバル競争に勝ち抜くためには人件費コストを抑えることが必要不可欠だとして、リストラや非正社員の活用を進めて、平均所得の切り下げを積極的に進めてきた。
しかし、いくら何でも、それをやり過ぎてしまったのではないか。そのために、車が買えなくなるくらい庶民の懐が寂しくなってしまったのだ。
これまで好調だった軽自動車も、前年比5.1%減の192万台と4年ぶりに減少してしまった。その一方で、国産超高級車の「レクサス」シリーズは、前年比11.9%も販売台数を増やしている。
いわゆる勝ち組が所得を増やして高級車をどんどん買っているのに対して、庶民は軽自動車さえ買えなくなってしまっているわけだ。
たしかにレクサスはいい車ではあるが、自動車販売全体の売り上げに対する比率は小さい。自動車業界にとって、レクサスだけが売れても、ほかが落ち込んでしまえば意味がないだろう。
ことは車だけではない。若い人たちはお金がないものだから結婚もできない。30代の非婚率は上昇するばかりである。家庭が出来ないから、ファミリー向けの商品も売れないし、年金も倒れてしまう。
構造改革派が「国際競争力を高めなくては」といくら声高に叫んでも、庶民の懐が寂しくなって消費がさらに落ち込んでしまえば、元も子もなくなってしまう。
「いいかげんにしろ! 構造改革派」――。前年比6.7%減という自動車販売台数の大幅減少は、そうした警告なのではないかと思えるのだ。
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