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構造改革をどう生きるか

生活必需品が買えなくなった

 生活必需品であれば、たとえ年収が低くても買わなくてはならない。だからこそ、年収300万円台前半という年収の層であっても、66%の普及率を記録しているわけだ。

 だが、生活必需品でありながら、ここ何年も車の販売台数が減ってきたのはどういうわけか。本当に若い人たちが車を買わなくなったのだろうか。

 結論を言えば、「買わなくなった」のではない。「買えなくなった」のである。いくら生活必需品といっても、あまりに低所得になると車を買うことはできない。実際、年収200万円未満の世帯になると、自動車の普及率は35%に激減する。

 昨年国税庁が発表した「民間給与の実態」によると、年収200万円未満の給与所得者が1023万人と、21年ぶりに1000万人の大台に乗せた。こうした低所得層の拡大が、車の販売不振に結びついているのは間違いない。

 それを示す傍証がもう一つある。それは貯蓄率の劇的な減少だ。1970年代に20%台あった貯蓄率が、ここに来て文字通りまっさかさまに低下。いまでは3%になってしまった。

 なぜ貯蓄率が減ったかといえば、日本人が享楽優先のライフスタイルに変わったからではけっしてない。そうではなくて、貯金している余力がなくなってしまったのだ。

 車の販売台数減少と貯蓄率の低下から、次のようなことが分かる。それは、いままでは貯金を取り崩してモノを消費していたのだが、とうとう蓄えも底をつき、生活必需品である車も買えなくなったということである。

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