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構造改革をどう生きるか

全国的に見れば車は生活必需品

 たしかに、若者にとって車はあこがれのものではなくなり、かつてほど積極的に車を買おうという気持ちがなくなってきたのは事実だろう。

 しかし、だからといって自動車を必要としなくなったのかといえば、そうではない。2004年の「全国消費実態調査」において、単身世帯を含む自動車の世帯普及率を見ると、興味深い事実が浮かび上がる。

 年収400万円台前半世帯の自動車普及率は78%、年収300万円台前半でも66%もの普及率があるのだ。つまり、かなり年収が低くても自動車を持っていることが分かる。なぜなら、現代の日本において車は生活必需品になっているからだ。

 こうした現状に対して、残念ながら評論家の認識は足りない。彼らは東京のような大都会に住んでいるために、全国の実態がよく見えていないのだ。

 公共交通の面において、東京はかなり特別な町である。なにしろ、発車時刻も知らずに駅まで行って電車に乗るなんて、地方では考えられない。そんなことができるのも、数分も待てば電車がやってくるからだ。

 だが、東京でも郊外まで行けば20分おき、さらに地方に行くと1時間おきというのも珍しくない。そうなると、通勤通学は別として、鉄道が日常の移動手段とはなりにくいのだ。

 だから、東京や大阪などの大都市中心部に住んでいる人は別にして、郊外や地方都市に住んでいると、病院に行くにも買い物に行くのにも、車がなくてはどうにもならない。それが、車が生活必需品になっているという意味である。さらに言えば、一家に一台どころか、一人一台という家庭もいまや珍しくない。

 よかれ悪しかれ、それが全国的に見た基本的なライフスタイルになっているわけだ。その認識を抜きにして評論することは意味がないのである。

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