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社説

古紙配合率 緩和の見送りは妥当だ(2月6日)

 メーカー側の都合で古紙配合率が引き下げられようとしていたなら、とんでもない話だ。

 中央官庁で使うコピー用紙の古紙配合率について、環境省は四月からの緩和方針を撤回し、現行の100%を維持することを決めた。

 再生紙の古紙配合をめぐるエコ偽装は、製紙業界ぐるみの問題に発展している。消費者の不信は拡大する一方だ。こんな状況で見直しとはいくまい。

 環境省に求められるのは、まず偽装の全容解明を急ぐことだ。それができないのなら、業界言いなりとの批判は免れない。据え置きは当然だ。

 緩和措置が見送られたのは、環境に配慮した製品の購入を政府や地方自治体、独立行政法人に義務づけた「グリーン購入法」に規定されている古紙配合率の基準だ。

 古紙の配合率はこの中で、コピー用紙100%、印刷用紙70%などと定められている。これは民間企業の物品購入の指針にもなっているだけに、影響力は大きい。

 製紙業界は昨年秋、「古紙100%は必ずしも環境によくない」「二酸化炭素の排出量が多くなる」として基準の大幅な緩和を要望した。

 驚くのは、環境省の検討会が調査することもなく業界の主張を認め、いったんは容認方針を固めたことだ。

 偽装が発覚したのはその直後だ。問題が表面化しなければすんなり認められていたことになる。

 日本製紙に端を発したエコ偽装はその後、大手、中小を含む多くのメーカーに波及し、大手インキ会社のインキの偽装にまで発展している。

 業界は偽装の事実を認め陳謝しているが、詳しい実態についてはほとんど口をつぐんだままだ。

 古紙回収やエコ商品の購入を通じて循環型社会の実現に協力してきた消費者に対する背信行為といっていい。

 「何が環境に優しいのか」。こうした根本論議が置き去りにされていることも大きな問題だ。

 業界には、資源の有効活用の観点などから、古紙配合率は70%程度が妥当との意見もある。果たしてこれは正しいのか。今後は専門家の声に耳を傾けることも欠かせない。

 今回のエコ偽装では、基準の検証作業などを怠ってきた環境省の無策ぶりも指摘されている。

 これが業界ぐるみの偽装を見逃す温床になったとはいえないか。

 環境行政がこれだけ注目を浴びている時代だ。据え置きを決めた以上、環境省は基準がきちんと守られているか、定期的に点検し指導すべきだ。

 製紙業界には消費者の不信を払拭(ふっしょく)するための説明責任を強く求めたい。

 古紙配合率の基準緩和などは、それが終わってからの論議だ。

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