|
2008年2月6日放送 |
|||||
今回の番組について最近では、自分の好きな枕が選べるというホテルから、百種類以上の枕を取り揃えた枕専門店まで登場するほどの「枕ブーム」! それでも、自分にぴったり合う枕が見つからずに悩む人は意外に多いようです。 そこでガッテンが科学の目で快眠できる枕の秘密を徹底解明。なんとそのポイントは、「焼き鳥」と「塩」!? |
||||||
オープニングクイズ
|
||||||
「枕が合わずにお先マ〜ックラ!」ここ十年来、朝起きた時の首・肩・腰の痛み、さらには片頭痛にも悩まされてきたAさん(40歳)。「枕が合わないのが原因では」と考え、これまで4つも枕を買い換えてきました。いま使っているヨーロッパ製の枕は定価1万円以上するものですが、何度も頭を乗せ直したり、腕枕をして寝たり、頻繁に目を覚ますなど、快眠とはほど遠い状態でした。 そこで、枕が合わずに悩む5千人近くの患者さんを診てきた整形外科医の診察を受けたところ、Aさんの片頭痛と思われる症状は、“首の頭痛”とも言うべき「大後頭神経痛」だと診断されました。しかもその原因は、「枕をしても、首が“いい角度”になっていない」ことにあると指摘します。 頸椎(けいつい)の7つの骨の間には「つい間板」があり、骨の隙間からは「神経」が頭や肩・腕などに伸びています。睡眠中に十分首が休まっていないと、首の筋肉が緊張してこれらの神経を圧迫します。これが「大後頭神経痛」と呼ばれる片頭痛のような症状や、肩こり・腕のしびれの原因となるのです。 では、首の筋肉や神経が休まる、科学的に“いい角度”とは何なのでしょうか? |
||||||
「寝つくのに良い ネックの角度は?」首が休まる究極の場所といえば、宇宙空間! なぜなら、そこでは人は重力すら感じなくなり、究極のリラックス状態を味わうことができるからです。 取材班は、この地球上でも宇宙空間のような究極のリラックス状態を体験できる場所を発見しました。それは長野県のとある施設に設けられたプールです。このプールは、海水のおよそ10倍もの塩分が溶け込んだ、アラビア半島にある「死海」という湖の水を再現したもの。その水に入ると、誰でもプカプカ浮かんで究極のリラックス姿勢になれるのです。 このプールの水に浮かんだ姿勢を解析し、その形通りに発泡スチロールを切り抜いて台座を作成しました。そして、この台座に横たわり、究極のリラックス姿勢を再現した状態で、MRIという装置で首の角度を精密に調べました。さて、このときの首の角度は何度だったのでしょうか? 一方、先に紹介した整形外科医の研究では、枕によって首を「ある角度」に保つことで、肩こりや頭痛、腰痛といった症状が改善されることがわかったといいます。 「首を最もいい角度にする」枕をした状態の首と、死海プールに浮かんだ状態の首で、水平面から計った角度を比べると、なんとピタリと一致したのです! その角度は、およそ15度でした。 一方、Aさんが合わない枕をした状態での首の角度は、およそ10度。たった5度でもそれほど違うものなのでしょうか? 首の角度と首への負担の関係は3次元CTという装置で首の骨の正確な形を調べ、その角度が変わることによって、骨と骨の間にある「つい間板」にどのような力がかかるか、コンピューターで解析しました。 その結果、最も首が休まるおよそ15度から、わずかに角度が増減するだけでも、つい間板は押しつぶされたり、引っ張り伸ばされたりして変形し、リラックスできる状態にはならないことが判明したのです。 ※先に紹介した整形外科医の研究によると、最適な角度は体格にほとんど影響されないという結果になりました。ただし、姿勢に目立った変形がある場合は異なることもあります。正確な判断には専門医の診察が必要です。 |
||||||
「枕の硬さの影響は? 実は“硬軟”です!」枕の高さ同様、気になるのが「硬さ」です。枕が合わずに悶々と寝返りを繰り返していたAさんは、枕の硬さにも問題があったのでしょうか? そこでガッテン特製「寝返り測定器」で、枕と寝返りの関係について実験しました。額の中央とおへその下辺りに上向きにライトを取り付けて、その光を頭上の分度器型ドームに映します。その光の点で、寝返りを打った時の頭と腰の動きを調べるのです。 まず、ふんわりやわらかい枕で実験です。すると、腰が大きく寝返っても、頭は枕にやわらかく受け止められ、穏やかに回転しました。一方、かたい枕では、腰の回転につれて、ほぼ同時に頭も大きく回転しました。これでは寝返りを打ちすぎて、頭が安定しないようにも思われます。 さて、どちらが快眠しやすい枕なのでしょうか? |
||||||
「究極の快眠大実験!」寝返りと睡眠にはどんな関係があるのでしょうか? そこで「ガッテン究極の快眠大実験」を行いました。 20代の女性2人にご協力いただき、この2人が最も寝やすい理想的な寝姿をかたどった「究極の快眠ベッド」で一晩寝てもらうことにしました。この快眠ベッドは、マットレスのスポンジも体型に合わせて細かく調節し、理想の寝姿で体が安定するようにできているのです。 案の定2人とも、理想の寝姿のままスヤスヤ。これで快眠間違いなし……と思ったら、翌朝の感想はなんと「背筋が重い」「肩が凝って、だるい感じ」。いったい何が問題だったのでしょうか? そこで次の夜は普通のベッドで寝てもらったところ、何と2人とも一晩中ゴロンゴロンと激しく寝返りながら眠っていました。寝返りを打ったほうがよく眠れるのでしょうか? 睡眠中の脳波の測定結果から、目が覚めた状態にある「中途覚醒」の回数を調べました。すると、通常のベッドで激しく寝返りを繰り返していた時には2人とも一晩に20回程度目が覚めていたのに対し、同じ姿勢のままで寝る特製ベッドでは、その倍以上も目を覚ましていたのです。 寝返りを打つ理由とは体にかかる圧力を調べたところ、仰向け寝では肩や腰の周辺に、横向き寝では骨盤の周辺に、圧力が集中することが判明しました。特定の場所が圧迫され続けると、痛くなったり体温で蒸れたりするため、脳は睡眠中も寝返りを打って姿勢を変えるよう指令を出しているのです。 枕が合わないために姿勢が落ち着かず、寝返りを繰り返してしまうのは「悪い寝返り」といえます。しかし、眠ったまま無意識のうちに楽に姿勢を変え、快眠を維持するのは「よい寝返り」だといえます。 では、楽に「いい寝返り」を打てるのは、どんな枕なのでしょうか? 実は、「かため」で頭が潜り込まない枕のほうが、寝返りを妨げないのです。 そこで、枕が合わずに体の痛みや頭痛に悩まされていたAさんに、整形外科医が、どこの家庭にもあるような2つのものを使って、「いい寝返りを打てる枕」を手作りする方法を指導しました。その結果、3週間後には片頭痛もすっかりなくなり、朝まで目覚めずにグッスリ! |
||||||
「ガッテン流・手作り快眠枕」の作り方
分度器を使わずに「15度」を確かめる方法枕をしっかり肩口に当てた状態で、膝を立て、右手で左肩を、左手で右肩を持つように、腕を胸の前でバッテンに組みます。 そうして、膝を片側にパタンと倒す勢いで、横向き寝の状態になります。肩の力を抜いて、楽に枕に頭を預ける状態にしてください。この時、顔の中心を通って胸元へ抜ける線がほぼ一直線になり、かつ「ほぼ布団面に平行(水平)」になるように、枕の高さを微調節します。 高さが決まったら、再び仰向けになります。すると、自然に首の角度は、首が最も休まる「およそ15度」になっています。 |
Copyright NHK (Japan Broadcasting Corporation) All rights reserved. |
||||