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療養病床:「社会的入院」抑制狙い900削減 影響の予測に懸念も--県構想 /宮城

 ◇国方針基づき「介護型」は全廃

 「社会的入院」を減らして医療費を抑制するため県は、11年度末までに療養病床を3589床(07年4月時点)から900床削減し、2689床とする数値目標を盛り込んだ「県地域ケア体制整備構想」の最終案をまとめた。県民から意見を募集するパブリックコメントを実施中で、今月下旬ごろに案を決定する方針。

 社会的入院とは、自宅などの介護体制が整っていないため、治療よりも介護を必要とする高齢者が病院に長期入院すること。

 06年の医療制度改革では、12年度末までに全国の療養病床のうち医療保険で賄う「医療型」を25万床(06年2月時点)から15万床に削減し、介護保険で賄う「介護型」(同時点で13万床)を全廃する方針を示している。これに基づき厚生労働省が都道府県に対し、年度ごとの数値目標を定めるよう求めていた。

 県がまとめた最終案では、11年度末までに療養病床のうち「医療型」を昨年4月時点の3092床から2689床に削減し、同時期に497床あった「介護型」を全廃する。県は昨年8月、療養病床を持つ県内84の病院と診療所を対象に削減の意向を尋ねるアンケート調査を実施し、結果を基に数値目標を算出した。

 削減する900床分は、療養病床よりも費用を抑えられる介護施設や一般病床への転換を進める。最終案では、老人保健施設に556床、特別養護老人ホームに30床、一般病床に291床転換し、残り23床は廃止する。

 療養病床からの転換は各医療機関の判断で行われるため、県は今後、円滑な転換を支援するため患者や医療機関への相談体制の整備などを進めることにしている。

 国の療養病床削減方針を巡っては、▽治療の必要があるかの判断基準が不明確▽退院後に自力で生活できるかの考慮が不十分--などの指摘があり、日本医師会は最終的に約4万人が退院後の行き場がない「介護難民」化すると推計している。

 県医療費適正化計画策定懇話会委員で東北大大学院経済学研究科の関田康慶教授(医療福祉システム論)は、「療養病床削減は、医療費抑制のための国の基本戦略であり、削減によりどういう影響が出るかのシミュレーションが必須だが、十分とはいえない。結果的に医療システムの崩壊につながらないよう、計画策定・実施過程に注意しなければならない」と指摘している。【山寺香】

毎日新聞 2008年2月6日

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