脳の年輪 今日より4
宇宙の一切は、一瞬の静止も停滞もなく、変転していく。わが地球も、二十四時間のリズムで自転しながら、太陽から約一億五千万キロの距離の軌道の上を、毎秒約三十キロのスピードで公転し、三百六十五日で一回転する。ご承知のように、自転の周期は正確には二十三時間五十六分四・〇九〇五秒。公転の周期は三百六十五日と六時間九分十二・九六秒であり、この誤差は四年に一度、閏年を設けて調整している。まことに厳然たる宇宙の運行である。この妙なるリズムに、あらためて思いを馳せるにふさわしいのが、「正月」の時季といえるかもしれない。
ところで最近の医学の研究によると、人間の脳には、この地球の公転と一致する「一年周期」の変化がみられるという。時間の関係もあり、詳しくは略させていただくが、これは東京医科歯科大学の角田忠信教授の説である。
同教授によると、人の脳には、さまざまな音を右脳と左脳に振り分けて聴くための「スイッチ」がある。そして、このスイッチは、たとえば二十二歳の人は二十二ヘルツの音で、右耳と左耳の働きが逆転する。同じく四十五歳の人は四十五ヘルツの音で逆転するというように、満年齢による規則的な違いがある。ヘルツとは一秒間に一回の振動数である。しかも、それは一人の人においても、その人の誕生日の前後で、正確に変化していく。詳しくは、各人のこうした“年齢周波数”の「整数倍」の周波数でも、同様の現象が起きたという。
まことに興味深い研究である。同教授は、これを「宇宙環境に周期する小宇宙である脳の変動」として、「脳の年輪系」と表現している。そして、低音域におけるこのシステムは「すべての生物に共通する、より根源的な未知の世界を垣間みせているのかも知れない」と述べている。
一個の人間の生命が、いかに大宇宙との深き連関性を持って、活動しているか ― その一端を示唆しているともいえよう。
恩師・戸田先生は「宇宙」と「生命」について、よく次のように話してくださった。
「地球が宇宙の惑星の一つなら、われわれ人間も、おなじだ。人間の活動といったところで、宇宙のリズムある法則から免れることは、絶対にできない。そのような法則を、生命という次元から、根本的に、事実として説かれているのが、大聖人の仏法である。これが分かってしまえば“我即宇宙”であり、“宇宙即我”ということになる」小説「人間革命」にも、大要しるしたことだが、この簡潔にして本質を言い尽くした先生の言葉は、今も脳裏から離れることがない。
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