運命の起点
人は時間、空間の交差点でこの世に誕生します。つまり、ある瞬間(出生年月日時)、ある場所(出生地)で人としての姿をこの世に顕現します。あたかも、縦糸と横糸によって紡ぎだされた色とりどりの生地のように、百人百様の五色の綾なす人生模様が生まれいずるのです。まさに「人生いろいろ」。同じ食物でも時期や産地の違いで味も違ってきます。よく子どもは白紙の状態で生まれてくると言いますが、同じ白でも紙質が違うということです。和紙の子もいれば、模造紙の子もいる。和紙の子は岩絵具で描いてこそ、その性質が最も活かされます。ペインティングナイフで親の勝手な理想像を描こうとすれば、和紙は破れてしまうでしょう。それがいわゆる家族トラウマ(心的外傷)です。分析心理学のユングは、「この瞬間に生まれ、ないしは創造される一切のものは、この瞬間の質をもつ」と述べました。そして彼が治療に占星術や易を使用したことは有名な話です。各種運命学は、推命の基準を生年月日においておりますが、ではその生時にはどういう意味があるのでしょう。いくつか興味深いものをご紹介しましょう。
東京医科歯科大学の角田忠信教授の研究によると、人間の脳には、満年齢の数と等しい周波数に正確に反応する年輪システムが備わっており、この反応は、誕生日の午前中を期して、1Hz変化します。つまり、地球の公転に正確に一致したメカニズムを脳の最も原始的な深部に蔵しているのです。また、地震前の地殻の歪みに対しては、このシステムに異常を示すということで、まさに人は、天地の只中に生き、天体の運行に組み込まれた「宇宙の子」であると言えるでしょう。東洋運命学では生時を干支で表します。干支は天干地支、つまり天と地のエネルギー、空間と時間を示します。また、この満年齢で変化するというメカニズムに対しては、胎児が誕生と同時に様々な変化を表すところに何らかの関連性が伺えます。胎児は出産を境に、それまでの羊水の中の生活から空気のある生活に切り替わる。産声はその宣言の雄たけびでもあります。同時に胎盤を通した胎児循環から、大人の血液循環へと替わるのです。産道を通るときのストレスにより、ノルアドレナリンが大量に分泌され、水中生活から陸上生活に移行するための全てのスイッチがオンとなり、脳と肺の機能が開始するのです。人は母親の子宮生活10ヶ月の中で、生物の38億年の進化の歴史をたどるとされています。狭い産道に全身を潰されながら最後の試練を乗り越え、まさに人として誕生してくるのです。
いかかでしょう。人の誕生の神秘。これから、この誕生の時と場所に秘められた人間の運命・天命について実例から考察して参りましょう。
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