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脳波で家電操作 所沢国立リハビリセンター

2008年02月06日

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脳波をデジタル信号処理し、ライトをつけたり、ロボットを動かしたりするシステム=国立身体障害者リハビリテーションセンター提供

◇実験成功 実用化目指す

 両手足の不自由な身体障害者が、脳からの信号だけで自由に家電を操作――。国立身体障害者リハビリテーションセンター(所沢市並木4丁目)は、脳波を利用して思い通りに家電を操作したり、パソコンに文字入力したりするシステムを開発、実験に成功した。今後も研究を重ね、より重度な障害者が自由に操作できるシステムや、障害者の脳波から多様な意思を読み取って活動する「お手伝いロボット」などの開発、実用化を進めるとしている。

 開発したのは同センター研究所感覚認知障害研究室の神作憲司室長らの研究チーム。06年からシステム開発に本格的に取り組み、1月中旬に実験に成功した。

 このシステムは、脳波キャップを頭にかぶって電極10個を装着。操作画面の記号や文字、数字のうち、指示したいものを意識して凝視することで、特定の脳波パターンが脳波計に伝わる。さらにデジタル信号処理するコンピューターを通じて赤外線を家電などに送り、思い通りに操作する仕組みだ。

 1月中旬に行われた実験では、両手足にまひのある障害者がテレビのチャンネル切り替えや音量調整、ライトの点灯・消灯、パソコン上での文字入力、家庭用ロボットの移動操作に成功した。操作画面を凝視し始めてから実際に操作できるまでの時間は、1回十数秒だった。今後、電極の数や凝視時間をさらに減らすなどの改良を重ね、実用化を目指すという。

 神作室長は「実際に障害者がシステムを使って家電操作などに成功したことは大きな意義がある。実験に協力してくれた障害者もとても驚いていた。脳からの信号だけで家そのものを制御できる『インテリジェント・ハウス』づくりなど、障害者の活動領域を広げるための研究を続けたい」と話している。

 研究成果は、今年夏の日本神経科学学会などで発表される予定。

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