鳥取砂丘(鳥取市)の通称「馬の背」に人の顔と名前らしき文字が落書きされていたことが五日、分かった。馬の背の落書きをめぐっては、昨年九月にも大学生グループが巨大な文字を書いて問題となったばかり。落書きを目撃した大阪市内の男性観光客(34)は「初めての砂丘で楽しみにしていた母が記念写真も撮らず帰ってしまった。落書きを気にしない人もいるが、砂丘を訪れるのが人生に一度きりの人もいるかもしれない。残念な気持ちを分かってほしい」と話している。
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馬の背に落書きされた「サチコ」の文字と顔の絵=2日午後1時30分ごろ、鳥取市の鳥取砂丘(提供写真)
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落書きが目撃されたのは今月二日午後一時半ごろ。男性は六十代の母親と旅行会社のツアーで砂丘を訪れていた。男性が馬の背を見ると左側の「サチコ」はすでに書き終わっていたが、右側の顔は書いている最中だった。
顔を書いていたのは男性一人で、同じグループとみられる約二十人がそばで様子を見ていた。男性は足と棒を使って書いていたらしい。
観光客の男性は、砂丘の写真を見た母親の「きれいだから行ってみたい」という希望をかなえようとツアーに参加。しかし、母親はがっかりして砂丘を後にしたという。
「誰も止める気配がなかった。せめて注意を促すアナウンスがあれば。書いた本人は楽しいだろうが、何カ月も前から楽しみにして来たら落書きがあった時の気持ちを考えてほしい」と訴えている。
砂丘の落書き問題では昨年八月、北海道テレビ放送の自社制作番組のスタッフが番組名を大書し、環境省から厳重注意を受けたことが明らかになった。九月には愛知県内の大学生でつくるサークルのメンバーが落書きしたため、同省に始末書を提出している。
鳥取市の鳥取砂丘室は「個人名の落書きが自然公園法に抵触するかどうかは詳細な調査を実施しないと分からないが、モラルの問題。多くはきれいな砂丘の景観を楽しみに観光しているので、絶対にやめてほしい」と呼び掛けている。