◇「保護者の理解がまだ」--実施なら早くて再来年春
市立保育所の民営化を検討している伊丹市は4日、少なくとも1年は民営化を先送りするとの見通しを市議会文教福祉委員会で明らかにした。3月市議会に提案予定だった市立2保育所の廃止に関する条例は、提案を見送る。「保護者の理解が得られていない」と判断した。【池内敬芳】
民営化の基本方針自体は変えていないといい、市は来年度、民間移行に伴う問題に関し、新たに委員会を立ち上げて議論し、結論が出た後移行に1年はかけるという。結局、今後民営化方針が実現した場合、最も早くても実施は再来年(10年)の4月になる。
新たな委員会は、司会者役の学識経験者のほか、保護者、保育士、市職員などで6月ごろ発足。移行する際の引き継ぎや、障害がある子とない子を一緒に育てる「統合保育」が民間でもきちんとできるか、などの問題への対応策を具体的に議論する。結論をまとめる時期は想定していないという。
市はこれまで、保護者向けに説明会を開き、一般市民から意見を募るパブリックコメントを実施。どの説明会でも反対意見が相次いだという。パブリックコメントは同市で過去最高の450人から計1051件が集まったが、民営化に肯定的な意見はわずか10件だった。
反対運動を続ける「伊丹市の保育を考える連絡会」の松村吉祐会長は「具体的対策を考えずに計画案をまとめたのがそもそも間違い。計画案は白紙に戻すべきだ」と批判している。
〔阪神版〕
毎日新聞 2008年2月5日