一般紙の社会面の下に「お詫び」公告が掲載されることがあります。今日の紙面にもいくつか載っていますが、その中に耐火材の認定を不正に取得したという「お詫びとお知らせ」がありました。
公告したのはニチアス株式会社で、「ニチアス」と聞いても皆さん、あまりピンとこないかもしれません。1896年に大阪で生まれた会社で、旧名は「日本アスベスト」でした。断熱、耐火材ではパイオニア的な会社で、東証一部に株式を上場して建材メーカーの大手に成長したんですが、1981年、「ニチアス」に社名変更したんです。
例の健康被害問題もあって汚名返上に必死だったんでしょうか。昨日、お詫び会見をしました。
ニチアスは耐火ボードを作っています。住宅の軒裏やビルの間仕切りなどにも使われている、延焼を防ぐ耐火材です。30分、45分、60分の3タイプがあるようですが、対象商品にそれぞれの時間、加熱して行われる性能試験を受けて、合格して国土交通省の認定を受けることになっているんだそうです。
ところが、この試験の時に、あらかじめ水槽につけて水をふくませておいたり、耐火材部分もより耐火性の高いものに代えて試験をパスしていたということです。2001年ごろから技術者部門の方々が研究してたんですが、どうもいいものができない。当時、建材事業を伸ばすのが社の課題だったといいますから、こういうことをやってしまったんでしょうね。
30分タイプについて、社内調査で性能を満たしていたそうですが、45分、60分タイプのものは15分から20分ぐらい加熱に対して延焼を防ぐ時間の目安が不足しているようです。
製品は2001年から約10万棟に使われていて、そのうち、少なくても4万棟は基準を満たしていないものを使っているそうです。ニチアスの軒裏耐火材は大手にも納入されています。旭化成の「ヘーベルハウス」「ヘーベルメゾン」など人気のあるいい住宅も使っていたんですが、旭化成は無償でやり直すそうです。知らないで使っていたわけで、気の毒ですよね。この後、どうなるんでしょうか?
これが表ざたになったのは、内部告発だったようです。経営のトップの人たちは報告を受けて昨年秋から知っていたんですが、納入先への影響と自社の経営を考えると公表できなかったと言っています。ところが今月半ば「公表しなければ報道機関に情報を知らせる」といういう投書があって、それですぐに国土交通省に報告して納入先にも対応を始めたそうです。
こういう問題が起きたときのトップの対応、言うは易しですが当事者にとっては大変でしょうね。
参考資料:朝日新聞:ニチアスが耐火材偽装 10万棟分公表せず
ニチアス偽装問題 住宅メーカーに問い合わせ相次ぐ
ニチアス株式会社HP
2007年10月31日
「お詫び公告から」
この記事へのコメント
旭化成気の毒です
かなりのマスコミがニチアスより旭化成をクローズアップして報道しているようです。(特にNHK)ニチアスの知名度が低いので旭化成やヘーベルハウスと報道して扇動しているような感じを受けます。完全な被害者なのに、健気にすべて補修すると即発表した旭化成は気の毒ですし、小倉さんがおっしゃるように評価すべきと思います。マスコミはもっと本質を見て欲しいと思います。
KK 2007-11-02 00:07:10