UPDATE2: 空港の外資規制にあらためて反対、国際競争力強化に逆行=金融担当相
[東京 5日 ロイター] 渡辺喜美金融・行政改革担当相は5日の閣議後の記者会見で、国土交通省が今国会へ提出を予定している空港整備法改正案をめぐり、空港会社への外資規制を導入する方向になっていることについて「金融担当相として反対だ」との見解をあらためて示した。渡辺担当相は、日本の金融・資本市場の国際競争力強化の流れに逆行すると指摘したうえで、5日の自民党の関係部会の結論をみたうえで、冬柴鉄三国土交通相との会談を申し入れる意向を示した。
金融庁はすでに、国交省に反対する意見を申し入れているが、5日に開く自民党の関係部会は空港の外資規制を了承する方向で、閣議決定に持ち込まれる可能性が高い。渡辺担当相は「党内でどういう結論になるか分からないが、ぜひ冬柴国交相と会って話をしたい」としたうえで、閣内では、「私とともに、大田弘子経済財政担当相、岸田文雄沖縄・北方担当相の3人が反対している。そうであっても強行突破を図ろうとするのか、まずは話し合いに応じてもらう必要がある」と強調した。
ただ、冬柴国交相との会談については「すでに申し入れたが断られた。閣内で対立しているイメージを与えるのはよくないとの理由だった」と明かした。再度の会談の申し入れは「きょうの自民党の(関係部会の議論の)状況をみてから考えたい」と話した。
渡辺担当相は「安全保障の問題であれば資本規制をしなくても、とりうる手段はいくらでもある」としたうえで「他にとりうる手段があるにも関わらず、資本規制という、鎖国的・閉鎖的な手段をとるのは間違いだ」と指摘した。さらに「日本市場の競争力を強化して外国からの投資を促進しようと、首相を先頭にダボス会議にまで行ってきた。ダボス会議から帰ってきたらいきなり外資規制とは、日本がどちらの方向を向いているのか疑われる」と強調した。
<東京G7、財務相・日銀総裁は日本の教訓を話してほしい>
9日に東京で開催される7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)では、サブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅融資)問題に端を発した金融市場の混乱で、金融安定化フォーラム(FSF)が、証券化商品の価格評価、金融機関のリスク管理、格付け会社のあり方などで中間報告する予定。
渡辺担当相は「格付け会社とか証券化のリスク分散とかの問題についての新たなルール作りはあり得るが、(サブプライム問題の)本質的な構造は、日本が経験したように、流動性危機の背景にソルベンシーの問題があり、個々の金融機関の問題というより金融システム全体の問題である可能性がある」と指摘。そのうえで「(世界各国が)そういう認識に到達しているとは到底思えないので、財務相や日銀総裁には日本の歴史の教訓について、G7の首脳たちに話をしていただきたい」と期待を示した。
(ロイター日本語ニュース 村井 令二記者)
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