厚生年金・社会保険病院、公的で存続の方針

 社会保険庁の解体に伴い厚生年金病院と社会保険病院の存続が不明確になっていた問題で、自民党の「社会保険庁等改革ワーキンググループ(WG)」で主査を務める尾辻秀久・参議院議員会長が2月5日、公益性の高い医療機関として存続させる方針を明かした。地域医療の確保を求める全国の関係自治体や住民の要請が実ったかたちだ。具体的な運営主体などについては、党内や同庁内で継続的に検討していくという。(金子俊介)

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厚生年金病院「法人譲渡は未決定」

 現在全国にある厚生年金病院は10か所、社会保険病院は53か所。それぞれ同庁から委託を受けた団体が運営。2004年、年金保険料の“無駄遣い”との指摘を受け、政府・与党は同庁関係の施設を整理する方針を決定していた。独立行政法人「年金・健康保険福祉施設整理機構」(RFO)が10年9月までの時限措置として発足、両病院の譲渡または廃止を担うことになった。
 しかし、譲渡先が民間法人になるのか公的法人になるのか、そもそも存続させるのかなどを具体的に定める「整理合理化計画」が05年度中の策定予定から大幅に遅延。その上、同庁の解体が決まり2つの非公務員型の公益法人が設立することもあり、社会保険病院は08年9月末以降、厚生年金病院は09年12月末以降、それぞれ今後の方向が決まっていなかった。

 このような状況の中、地域医療の確保のため、両病院の廃止や安易な民間法人への譲渡を防ぎ、公的な医療機関として存続させることを願う声が各地域で噴出。「厚生年金病院存続運動全国連絡センター」も同病院を「救急救命や小児医療、総合的リハビリテーション医療などを担ってきた」として、「公的施設として存続する基本方向性だけでも速やかに示すこと」などを個別に要望していた。
 尾辻議員はこれに回答し、厚生年金病院と社会保険病院について、公益性の高い医療機関として責任を持って存続させる方針を同連絡センターに伝えた。具体的にどのような主体が運営を担うかについては、両病院の医療機能などについて整理する同庁の「社会保険病院等に関する専門会議」の議論を参考にしながら、自民党内や同庁内で検討していく。同連絡センターで代表世話人を務める丸山和彦氏によれば、新しい公的な法人を設立する、もしくは、現在は両病院などの整理のみを目的としたRFOを法改正し、実際に運営に当たらせるなどの可能性が考えられるという。

 丸山氏は「これまでは方向性すら定かでなかったのだから、今回の尾辻議員の見解は評価できるもの」とコメント。その上で、具体的な運営主体については「いずれにせよ、公益性の高い施設を運営するにふさわしいものになるよう引き続き運動を強めていきたい」と話している。


更新:2008/02/05 16:23     キャリアブレイン

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