昨年、岡山県内で発生した夜間の車と歩行者の死亡事故で、点灯していた車のヘッドライトは21件すべてが下向きだったことが県警交通部の調べで分かった。ライトを下向きのまま運転するドライバーは多いが、道交法では上向きが原則。県警は状況に応じたライトの切り替えを呼び掛けている。
 過去10年で、車と歩行者の死亡事故の約7割が夜間に発生しており、県警はライトの点灯状況に着目。昨年の22件の死亡事故(消灯1件含む)について、運転者の事情聴取の記録などを分析した。
 交通量の少ない郊外の事故が大半で、原因別では「速度超過」(12件)が最も多かった。前方不注視も目立ち、県警交通企画課は「下向きライトで前方が見えにくいうえ、周囲に注意せず漫然と運転していた」とみる。
 道交法では対向車が接近したり、前方を車が走っている時に限り下向きとするよう定めている。ライトを上向きにすれば下向きの約2・5倍、約100メートル先まで確認できるが「切り替えが面倒だったり、上向きが基本と知らないドライバーが多い」(同課)という。
 同様の調査は熊本、茨城県警なども行い、啓発活動を展開。同課は「小まめにライトを調節する心掛けは、運転に集中することにもつながる」と、ポスターなどでドライバーへの周知に努める。