ワシントンタイムズ社会長 朴普煕博士 希望の日講演青年大会メッセージ

日本の青年たちよ、行け、そして世界を救え(1995年10月1日-12月3日)


 宇宙の背後に神の意志がある

 人は何のために生きるのでしょうか。歴史上において、哲学者や宗教家たちが、さまざまなアプローチでこの間題に取り組んできました。しかし、統一教会の文鮮明師の統一原理が現れるまでは、これに対するはっきりとした解答がありませんでした。その解答の一部をご紹介したいと思います。わたしたちはまず、神の実在を知るべきです。これをはっきりさせずには、私たちの人生の真なる目的地を定めることはできません。神を認める人生と、神を認めない人生とは天地の差があり、その方向が180度違うからです。
 はたして神は実在されるのでしょうか。人類歴史上、神はいろいろな形で否定され、冒とくされてきましたが、19世紀に至って、神を葬る運動は本格的になりました。
 1841年、ドイッの哲学者フォイエルバッハは『キリスト教の本質』という論文の中で「神は人間が造り出したものである」と宜言しました。存在していないものを造り出して拝んでいる人間は愚かであるというのです。さらに1886年、ドイツの哲学者二ーチェは、「神は死んだ」と宣言しました。このような哲学から、共産主義という無神論に基づいた政治哲学が出てきたのです。とくに1917年、共産主義宗主国ソ連の勃興により、いよいよこの地上から神を追放する運動が本格的になりました。 共産主義の武器は何だったでしょうか。ほかならぬ科学でした。科学万能を叫び、実験で碓認されない神は存在しないと主張し、「宇宙の根本は物質のみ」という唯物思想を主張したのです。共産主義者たちは、「科学は共産主義の友である。科学は神と宗教、そしてすべての神話を追放するであろう。宗教は人民のアヘンである」と叫びました。
 彼らは、20世紀になれば、先端科学の力をもって神を地上から追放して余りあると固く信じたのです。彼らにとっては、科学が神だったのです。


 20世紀の科学は神の最大の味方となった

 では、20世紀の科学は、彼ら共産主義者たちの予言のごとく、神をこの地上から迫放するチャンピオンになったでしょうか。今日の科学は神の敵なのでしょうか。
 思いがけないことが起こったのです。意外にも、20世紀の科学は神の最大の味方となったのです。
 20世紀の科学は、今や固い壁にぶつかり、宇宙の根本原因、すなわち神が宇宙の根本であると考えずには、もう一歩も進展できない限界線まできているのです。
 最近、アメリカでは原子物理学者ポール・デービス博士が書いた『神と新物理学』という本がベストセラーになっています。博士は、「私の考えでは、宗教よりも科学の方が神に至る、より確実な道を示すと思う。宗教より早く神を感知することのできる道は科学の道である」と述べました。これは共産主義者から見れば、晴天のへきれき、思いがけない進展です。
 19世紀までの宇宙観は、宇宙に最小基本単位となる物質があるというものでした。それを究極粒子といい、究極粒子が合わさって字宙が形成されているという宇宙観です。これはニュートンの宇宙観からくるものです。ですから、共産主義は、「宇宙の根本は物質以外の何ものでもない」と主張したのです。そして原子がこの宇宙の究極粒子であろうと予測しました。
 ところが、1938年にドイッで、その原子を分解することに成功しました。原子からまた微粒子が出てきたのです。その微粒子を砕いてみると、突然、物質というものが消えてしまったのです。後に残ったのはエネルギーでした。エネルギーはもはや物質ではありません。物質が非物質になったのです。ここに至って、宇宙の根本は物質であるとする宇宙観が壊れてしまったのです。 有名なアインシユタイン博士は「物質とエネルギーは相互変換的であり、相互交流的である」と述べています。つまり、すべての物質はエネルギーから成り、物質を砕けば莫大なエネルギーに変わるということです。
 それでは、宇宙のすべての物質の基本材料であるエネルギーが、どうしてさまざまなものに変形したのでしょうか。この複雑極まりない森羅万象、植物、動物、さらには人間を編み出したのでしょうか。これこそ大きな疑間です。偶然そうなったのでしょうか。科学の世界に偶然はあり得ません。科学の基本は「結果には原因がある」という法則です。原因のない結果はあり得ません。 同じ小麦粉でも、調理師の意志によって、あるものはうどんになり、あるものは蒸しパンになるのです。ですから、宇宙には必ず調理師のような意志が働いていると考えざるを得ません。科学的推理によって、この宇宙の背後には、ある意志と目的が存在すると考えざるを得ないのです。
 相対性原理の始祖アインシュタイン博士は晩年、すべての研究を終えてこう語りました。「私は神の創造を知りたい。私は神の意志を知りたい。それ以外の間題はすべて付随的である」と。
 アインシユタイン博士のような有名な科学者が、神の創造を語り、神様の意志を語っているのです。もし、現代の科学が神の敵であるならば、彼こそ無神論者になったはずです。
 この宇宙に偉大なる絶対意志があるとするならば、それはこの宇宙に絶対なる〃心〃が存在することになります。意志は心の一部であるからです。心は意志のほかに、知恵と感情から成り立ちます。この三者、すなわち意志、知恵、感情があってこそ、心となるのです。これを分けることはできません。科学ではこれを第一原因と言いますが、宗教では神というのです。神は意志、知恵、そして感情をもつ方であり、字宙の人格であると言うことができます。


 堕落によって失われた純潔なる愛の理想

 その神の人格の中心は心情です。喜びと悲しみを知る神! 神の心情とは喜びを求める心です。その喜びを味わいたいという心情が動機となり、全知なる知恵が働いてその方法を定め、全能なる意志が働いて創造が実現したのです。神は森羅万象を人間のためにお造りになりました。人間は“神の子女”であり、神は人類の親なのです。そして、この親子を結ぶ絆は真の愛です。
 ところが今、私たち人間は、その親である神の存在も知らないのです。何かが起こったのです。人間の先祖が堕落し、神から離れてしまったからです。喜びのために創造された神は、嘆き悲しむ神となってしまったのです。
 本来、神が創造されたのは喜びの世界であり、善なる世界でした。その世界は真理の世界であり、絶対正直の世界でした。純潔なる愛の世界でした。純潔なる愛によって造られた美しい家庭は、理想社会の基礎でした。また善なる理想世界は、人類が神を愛し、お互いに隣人を愛して、為に生きる奉仕の世界でした。奉仕とは、他を喜ばせることです。人類がみな、人種、民族、国境を超えて、兄弟姉妹となり、神人一体となって、純対正直、絶対純潔、純対奉仕に生きる世界、これがまさしく神の真の愛による地上天国であったのです。
 ところが、この神の理想世界はどこにも見当たりません。人間が堕落したからです。人間が神から離れてしまったのです。相互に愛し合うべき人類は、互いに憎しみ合う怨讐の間柄になりました。この世界は偽りの世界、不正直がみなぎった世界です。 最も恐ろしいことは、この世界が淫乱に満ちた世界であるということです。この淫乱の罪は神が最も憎悪される罪です。また、この堕落世界は利己主義の社会でもあります。人類の歴史は自己執着の歴史でもありました。白分の利益、自分の民族の利益、白分の国家の利益のために、人を殺します。不正直とインチキと憎悪と葛藤が渦巻いています。神が嘆き悲しむ世界となりました。これは地上地獄です。


 文鮮明師こそ神が遣わした再臨主

 愛なる神がこの堕落世界をそのまま放置されるでしょうか。神はこの世界を救おうとされておられるのです。神の救援とは、この堕落世界を地上天国に復帰することです。人類の歴史は神による復帰の歴史なのです。
 では、その救援の役事はだれがなさるのでしょうか。地上天国はだれが始めるのでしょうか。それを行うために、神から地上に遣わされる方がメシア、すなわち救世主なのです。
 最初に遺わされた救世主は、約2000年前のイエス・キリストでした。しかし、彼はイスラエル民族によって迫害され、十字架にかけられてしまいました。それで神は再び救世主を送ることを約束されたのです。現在、イエス・キリスト後、約2000年がたち、再臨のときを迎えているのです。この再臨主によって終末が始まり、審判が行われ、新時代が現れ始めるのです。
 では、その救世主はどなたなのでしょうか。すでにその再臨主はこの世に来られています。その方こそ、東洋が生んだ偉大な世界的宗教指導者、文鮮明師なのです。
 救世主は、すべての宗教の目的を完成されます。使命から見れば、再臨主はキリスト教で待望してきた再臨のイエスであり、仏教の弥勒仏であり、儒教の真人なのです。もっとも重大なことは、これがみな同一人物であるということです。
 一つの神は、この地上に一組の真の父母を完成させ、すべての宗教はこの方によって統合され、人類の救援が完成されるのです。長い間、待ちに待った地上天国の理想が、今やこの真の父母によって実現されるのです。


 文師の米国における共産主義との闘い

 20世紀において、世界平和への最も大きな脅威は何だったでしょうか。言うまでもなく、共産主義の宗主国ソ連の勃興でした。1978年11月18日、フランスの有名な雑誌『ル・フィガロ』は、「知られている共産主義の犠牲者だけでも、1億5000万人を上回るだろう」と発表しました。 アメリカとソ連との間に、もし第三次世界大戦が起こっていたならば、そして、それが核戦争であったならば、人類は滅亡したであろうと予測されていました。
 神と人類の最大の敵、共産主義の宗主国ソ連に終焉をもたらした方はいったいだれなのでしょうか。
 結論から言えば、それは言うまでもなく、神様であり、その神様が遺わされた再臨の救世主、文鮮明師との共同作戦の結果でした。救世主であられる文鮮明師がなさったもっとも大きな業績は、神をこの地球から迫い出そうとした共産主義から人類を解放したことです。文師は、共産主義は偽りの思想であり、神と人類の最後の敵であると宜言し、共産主義に思想的に打ち勝つ勝共思想を構築されました。
 1971年12月18日、文鮮明師はアメリカに上陸されました。文師はアメリカ国民に「アメリカよ、神に帰れ! 神の力をもって共産主義から世界を救え!」と訴え、わずか3年半の短い間に眠れるアメリカを目覚めさせました。
 そのとき、アメリカの容共主義者は文師が最大の故であり、もはや共産主義が思想的に勝てないということを悟りました。それで迫害と弾圧が始まったのです。それも卑怯な手段で文師を罠にはめようとしたのです。その一例がフレーザー委員会の不正な調査でした。それに失敗した容共主義者は文師を暗殺しようとさえしたのです。
 1974年2月1日、文鮮明師はホワイトハウスの大統領執務室でニクソン大統領と会談しました。そして、「ベトナム戦争を勝利に導き、東南アジアの1000万の流血を防ぐのがあなたの責任です」と語ったのです。
 文師に固く約束したニクソン大統領は、残念ながらその後、文師を失望させました。そのため、ベトナムでアメリカが敗北しました。これはアメリカの約200年の歴史で初めての屈辱でした。アメリカが神のみ旨から離れた結果です。


 レーガンを大統領にした文師とニューズワールド紙

 文師は悲壮な覚悟をされ、神に次の大統領を願いました。啓示で与えられたのはロナルド・レーガン氏でした。文師はレーガン氏を大統領に当選させることを神に誓いました。私は文師の指示でレーガン大統領侯補と会見するためにオハイオ州に行きました。当時、私はニューズワールド新間社の社長でした。
 私はレーガン大統領に会い、「あなたは神からアメリカの第40代大統領に選ばれました」と言いました。するとレーガン氏は非常に驚き、「それはいったい、だれの話ですか」と尋ねました。私が「文鮮明師への神の啓示によるものです」と言うと、「ではなぜ、神と文師は私を大統領にしようとするのですか」とさらに聞きました。そこで私は答えました。「神と文師はあなたを大統領にして、神と人類の敵、共産主義の終焉をもたらそうとしています。それがあなたの使命です」。レーガン氏とナンシー夫人は深く深く感動しました。
 しかし、当時、レーガン氏が当選する見込みはまったくありませんでした。私はその理由を文師に述べました。
 (1)レーガン氏は71歳という高齢であり、アメリカの歴史にこのような高齢の大統領はかつてなかった (2)レーガン氏は極右として知られており、アメリカ人は極右も極左のごとく好みではない (3)彼は1976年に大統領選に挑戦して、失敗している (4)彼はハリウッドの俳優出身であるため、政治家として真摯に受けとめられていない (5)カーター大統領は現職であり、現職の大統領の再選はいつも80パーセントの確率で有利である。
 これを注意深く聞かれた文師は、毅然としておっしゃいました。
「だからこそ、私はその不可能なことを可能にするのである。神の栄光のためである。奇跡は神の力で起こるのだ」
 文師は投票日の前日、「ニューズワールド紙で『レーガン、地滑り的大勝利』と予言せよ」と言われました。レーガン候補が勝利するかさえ疑間なのに、「地滑り的大勝利」とは、当時の事情からして、それはあまりにも現実離れしたものでした。
 私たちはみな臆病になって小さく「もしかしたら、レーガンが勝利するかもしれない」という内容の記事の草案を書いて、恐る恐る文師にお見せしました。
 それを見た文師は、それをごみ箱に捨ててしまいました。そして私を真正面に見据えながら、おっしやいました。「第三次世界大戦が起こったら、どのような見出しを新聞に書くのか」と。私は何気なく「それはもちろん、たいへんなニュースですから1面の大見出しで拳のような活字を使います」と答えました。すると文師は、「そうだ! それで行け! 私にはこれが第三次世界大戦だ」とおっしやいました。
 翌日の朝早く「レーガン、地滑り的大勝利」の大見出しが躍る新聞を受け取ったレーガン候補は、まず鷲き、そしてたいへん喜びました。そしてこの新聞を掲げて記者会見に出ました。それが1980年11月4日、投票日の朝でした。このニューズワールド紙の写真がアメリカ全国の新聞に出たばかりでなく、アメリカのすべてのテレビが全国に報道しました。2億4000万のアメリカ人は投票日の朝、大混乱に陥りました。彼らはテレビを通じて「レーガン、地滑り的大勝利」はよく見えるけれども、これが「ニューズワールド紙の予言である」という文字は小さくてよく見えなかったのです。アメリカは一日中、「レーガン、地滑り的大勝利」の大見出しを見ながら投票したのです。そして、その予言どおり、レーガン氏は地滑り的大勝利を収めたのです。
 文師はこの新聞1枚でアメリカ全国民の心理をレーガン勝利のほうに導いたのです。今、考えても、これは天才的な戦賂でした。


 レーガン政権を支えたワシントン・タイムズ紙

 では、レーガン氏を大統領に当選させることによって共産主義の宗主国ソ連の終焉は決まったのでしょうか。そう簡単ではありません。もし、文師がもう一つの大きな奇跡を起こしていなかったならば、今もまだ共産主義の終焉はなかったのではないかと思います。
 そのもう一つの奇跡とは、ワシントン・タイムズ紙の創刊です。
 アメリカは世論の国です。政府よりも強いのが世論なのです。ところが、レーガン大統領が就任したとき、アメリカのマスコミは徹底的にリベラルであり、とくに白由世界の首都ともいえるワシントンには、ワシントン・ポストという超リベラルな容共新間1つだけしかなかったのです。東京に新聞が1つだけしかないということが考えられますか?これではソ連を「悪魔の帝国」と呼んだ、さすがのレーガンでもかないません。
 そこで文師は立ち上がりました。「このままではアメリカは滅びる。アメリカが滅びれば世界が滅びる。われわれはアメリカを救わなければならない。ワシントンに保守系の新聞をつくらなければならない」と、悲壮な覚悟をしたのです。それが1982年1月1日でした。
 それから半年もたたない5月17日、ワシントン・タイムズがその勇姿をアメリカの前に現したのです。レーガン政権をリベラルな容共のマスコミから守りながら、大胆な勝共政策を建議し、共産主義の宗主国ソ連の終焉に決定的な役割を果たしたのです! 今日ではワシントン・タイムズは世界最強の新聞であるとの評価を受けるようになりました。1989年12月25日、クリスマスの夜に、ゴルバチョフ・ソ連大統領はクレムリンで最後の演説を行い、ソ連という共産主義の宗主国は、ついに地上から姿を消したのです。革命から74年目のことでした。
 ソ連を崩壊させ、核戦争の脅威を解消した世界最強の新聞ワシントン・タイムズは、白由世界の恩人であり、日本の恩人でもあるのです。
 レーガン大統領は、8年間の任期を満了してホワイトハウスをたつとき、ワシントン・タイムズ社の社長である私をホワイトハウスに招きました。レーガン大統領は私と単独で会い、こう言ったのです。「社長! 私はワシントン・タイムズに最大の恩を受けました。私の任期8年間、ワシントン・タイムズなくしては、絶対にレーガン・ドクトリンを推進することは不可能であったでしょう。ワシントン・タイムズの創設者・文鮮明師に深く感謝の意をお伝えください」
 日本の統一運助は日本に対しても類例のない愛国運動を行ってきたのであると私は証言いたします。
 考えてみてください。もし、アメリカがソ連に負けていたとしたら。もし世界赤化がソ連の野望のごとく成功していたならば、今の日本があり得るでしょうか。
 ソ連の崩壊があったので、日本からも赤い脅威が消え去りました。そして日本に空前絶後の平和と繁栄がもたらされました。それが統一運動のお陰であったといったら過言でしょうか。また、レーガン氏を大統領に選んだがゆえに、日本は経済的にも多大な恵沢を受けました。今世紀において日本にこれ以上の尊い愛国がどこにあるでしょうか。
 日本の統一連動は世界に対しても、日本に対しても正々堂々と、誇りある功績を収めたのです。自分を犠牲にしてです。自分を犠牲にして公のために尽くすことは、この日本でももっとも誉れあることではありませんか。アメリカの人々が、世界の人々が、このように理解しているのです。世界の人々がこのように感謝しているのです。このことを日本も認識すべきです。


 利己主義に陥ったときアメリカの衰退が始まった

 20世紀の初め、日本の有名なクリスチャンである内村鑑三は名言を残しました。彼は、東洋から新しい霊的運動が起こり、再臨の救世主が現れるのは、西洋ではなく、東洋であると予言しました。
 彼の名言は次の通りです。
 “I for Japan,Japan for the world,The world for Christ,and all for God.”(私は日本のために、日本は世界のために、世界はキリストのために、そして、すべては神のために)
 日本は世界のために、救世主のために、そして神のためにあるベきだという、偉大な日本人の証言です。私はこれが日本の未来が行くべき道を示すものであると信じます。
 アメリカはそのよい例です。1951年、私がアメリカに行った時、アメリカは地上の楽園であり、天国でした。夢のような「草原の小さな家」には、家族愛があふれ、日曜日には全国津々浦々に神をたたえる賛美歌が流れ、アメリカの「スーパーマン精神」は、世界の正義のために犠牲を惜しまないアメリカの象徴でした。都市にそびえ立つ摩天楼は、アメリカの夢の成就であり、都市のどこにもくず紙一枚も探し出せないほど、秩序整然としていました。人々は優しく、親切であり、他の為に身を惜しまず協力する社会でした。
 ところが1960年代からアメリカのキリスト教が弱り始め、人本主義や利己主義が入り込んできたのです。「アメリカはアメリカのためにあるんだ」という思想が入り込みました。そのように思った途端、アメリカは衰え始めたのです。もはやアメリカは輝く世界の希望ではありません。解決できない難問題が山積みされています。なかでも倫理道徳の衰退と犯罪の増加は目を覆うばかりです。アメリカの暴力犯罪は30年前の5.6倍に増えました。殺人、麻薬、暴力、離婚、幼児虐待、誘拐、ティーンエージャー(十代)の妊娠など、アメリカから流れ出るニユースは信じられないものがあまりにも多くあります。
 アメリカが衰える前に、最後の努力としてジョン・F・ケネディ大統領は、1961年、アメリカの世界的使命を就任演説で雄弁に語ったのです。“Ask not what your country can do for you―ask what you can do for your country.”(国があなたたちのために何をしてくれるかと問うな。あなたがたが国のために何ができるかを問いなさい)
 この精神でつくり上げたのが、ピース・コー(PEACE CORPS・平和部隊)でした。アメリカの若者たちは興奮して、身をなげうって、アフリカへ、南米へ、アジアへと向かったのです。それは逞しい行動であり、頼もしい姿でした。
 ところがアメリカのピース・コー運動は失敗したのです。なぜでしょうか。
 アメリカは「世界のため」ということは分かっていましたが、「すべては神のために」という精神が欠けていたのです。すなわち神に仕えるという理想と精神が欠けていたのです。神の真の愛をもって、隣人を愛する犠牲的精神がなかったのです。そしてアメリカは利己主義の虜になったのです。


 日本の青年よ、立ち上がり本当のピース・コーをつくろう

 今こそ、日本の青年たちは立ち上がって、本当のピース・コーをつくろうではありませんか。日本は新しい「世界づくり」の先頭に立つべきだと私は思います。そしてアメリカの前轍を踏まないでください。
 もし「日本のための日本」を願うならば、それはちっぽけな日本、尊敬されない日本、惨めな日本、必ず衰える日本です。それは神の法則に反するからです。
 そうではなく、世界のための日本、神のための日本でなければなりません。それは雄大な日本であり、神の法則にかなった日本です。それは誇りある日本、必ず繁栄する日本です。今、日本の青年は世界を見るべきであります。世界が皆様の舞台なのです。 もっとも重大なことは、メシア、救世主の真の愛の思想を中心とすべきであるということです。今や、日本の統一教会の若者たちは160カ国に派遣され、真の愛に基づいた「新しい世界づくり」を行っています。これは夢ではありません。世界救済運動が日本の青年の情熱で進行しているのです。
 人類を愛し、世界のために、そしてそれが神のためであるという信念をもって、全身全霊を尽くすところに、これからの日本の繁栄が保証されるのです。一時、エコノミックアニマルと呼ばれた日本ですが、それが「世界の母」と呼ばれる日を神は待っているのです。
 そのような日本は絶対に滅びません。神が日本の、そして皆様の味方になるからです。「神を喜ばせる日本」。これが偉大な日本の未来の姿なのです。そうなれば、地震も津波も災いも、何も恐れることはありません。


 エイズは神が人類に与えた純潔のテスト

 日本は戦後、いろいろな物を世界から輪入しましたが、1つだけ間違ったものを輸入してしまいました。それはエイズです。これは日本の本来の文化とは相反するものです。統計によれば、今、日本で公表されたエイズ患者は2716人といわれていますが、公表されていない感染者の数は、数百万以上になるのではないかと恐れられています。
 ハーバード大学のダナーファーバー研究所の発表によりますと、2010年までに世界のエイズ感染者は10億人を上回るとのことです。これは人類の存亡を脅かす数字です。エイズとはいったい何でしょうか。これは神が人類に与えた純潔のテストなのです。これは人為的につくられた人災です。ですから、その人為的原因を除くことによってのみ退治されるのです。エイズはコンドームでは防げません。予防薬も治療薬もないのです。エイズの撲滅にはただ1つの道があります。それは人類が、神が造られた本然の人間、すなわち愛の乱れのない純潔な人間に変わっていくことだけです。神の創造の法則通りに生きることです。
 人間始祖アダムとエバは、不倫の愛を結んだ罪によって、エデンの園から追い出されました。不倫と淫乱の罪は、神がもっとも憎悪される罪です。それは堕落と永遠の死を人類にもたらした罪であるからです。
 私が愛し、尊敬するこの日本はどうでしょうか。日本の実情を深く理解すればするほど、胸が痛みます。それは日本の若者たちの純潔観念があまりにも乱れつつあるからです。
 総務庁青少年対策本部が、平成5年6月に発表した「青少年とポルノコミックを中心とする調査研究」によると、高校生が婚前交渉を肯定する割合が、男85%、女72%となっています。これは日本の青少年の純潔が、虚しく蝕まれていくことを意味します。今、日本の学生たちは、青少年を蝕む自動販売機の氾濫とポルノ雑誌、間違った性教育、または非行なる性行為の誘惑の渦巻きの中で育っていきます。ポルノ雑誌やアダルトビデオが、自動販売機やコンビニで簡単に買えるのは、世界中で日本だけです。 神の立場からこの日本を見ますと、日本は絶対に道徳超大国にはなれません。それどころか、いかに日本が経済大国であろうとも、淫乱によって滅んだ古代のローマ、旧約聖書のソドムとゴモラの運命を免れないと思います。
 今の社会には、なぜ純潔が必要なのかを教える教育がありません。これに対して統一運動は日本の唯一なる希望です。統一運動はなぜ人間が純潔を守らなければならないかをはっきりと教えています。統一運動は絶対に禁欲主義者の集まりではありません。神の願う本然の愛に戻る運動なのです。それは男女が結婚するまでは貞操を守り、理想的な結婚をしてからは限りなく愛し合う、一男一女の純潔なる愛です。ここにはエイズが入り込めません。そしてその無限なる真の愛の力で理想家庭、理想社会、理想国家、理想世界を築くのです。この理想家庭づくりの最高の表現が国際合同祝福結婚式として現れたのです。


 21世紀をリードする道徳超大国に

 私はこの日本に、革命的な新純潔運動を提唱します。流行遅れだとおっしゃるかもしれません。しかし、私には古いも新しいもありません。ただ神の法則を伝えているだけです。純潔は神が人間に与えた法則なのです。
 新郎新婦が結婚式の日に交換する最高の誇りとプレゼントは、ダイヤモンドの指輪ではなく、お互いに捧げる純潔です。夫と妻が永遠に一体となる愛の原動力は、そして本当に幸福な家庭は、お互いに純潔を守り続けるときだけ得られるものです。
 私たちの繁栄の道は神の法則に従うことです。
 男と女が結婚し一つになれ、結婚までは男女共に貞操を守れ、結婚後は一男一女で無限に愛せよ、という法則です。これが血統を清く純粋に保ちたい神のみ旨です。
 純潔と言えば、「それは女性のことだ。男性には関係ない」という通念があります。私が言う神の純潔は、女性にだけ強要された封建的なものではありません。男女平等の純潔です。むしろ男性の純潔こそ、新純潔運動の核心となるのです。今は、男性が先に「純潔宣言」をすべき時であると思います。
 今の社会の汚れは、歴史的に男性のほうにより責任があります。男性が早くから純潔を守っていたならば、女性の解放運動はなかったでしょう。今、日本の性産業は年間4兆円以上の市場になっています。いったい、だれがこの金を出すのでしょうか。その90パーセント以上が男性たちなのです。男性が女性の純潔を踏みにじって、その賠償金として出す、血にまみれた“赤い罪の金”なのです。広島・長崎の原爆よりも恐ろしいこの4兆円の原爆が、毎年この美しい日本を碓実に破壊していくことを思いますと、私は戦慄せざるを得ません。この新純潔運動には男性たちが先頭に立たねばなりません。
 これからの日本は経済超大国だけではいけません。21世紀は物質文明から精神文明の時代に入ります。日本はこれをリードする道徳超大国にならなければなりません。それには革命的な新純潔運動が不可欠です。これなくして、倫理も道徳も精神文明もありません。
 エイズを撲滅する日本にならなければなりません。これを成し遂げる国民性は偉大なものです。私は偉大な日本の国民性を信じています。そして尊敬しています。21世紀は純潔なる人間、純潔なる社会、純潔なる国家が生き残る時代です。
 エイズは神が人間に与えた純潔のテストなのです。私たちはこれに合格しなければなりません。日本はこれに合格しなければなりません。
 これが今、世界を救済する再臨の救世主の大きな仕事なのです。