第7回 さんまシステム
糸井 みんなが、さんまさんについて、というか、
さんまさんの人生について過度に期待するのは、
「自分にはできない記録を出してほしい」
ということなんですよね。
さんま ああ、はい、はい(笑)。
糸井 「カール・ルイス頼む!」
みたいなことですよね。
さんま クワー(笑)。
でもね、そう言いながらも、かげではね、
「ほんまにやりよった」って
笑ってるんですよ、きっと、みんなね。
糸井 いや、友だちってそういうもんですよ。
さんま そういうもんです。
所ジョージさんなんかも、
よくそういうことをおっしゃいますね。
「さんちゃん、絶対幸せになれないじゃーん。
 だから、おれんちの前に
 家つくっといてあげたよ」って、
バスを改造した家を作ってくださったみたいで、
そこへ老後来いという話に
いつもなるんですけども、ええ(笑)。
だから、「結婚しないで」とか、
みんなは言うんですけど、それはね、
それはそんなに人のために、どこまで‥‥。
一同 (笑)
糸井 実験材料のような意味もあり、
願望のようなものもあり。
さんま 多少、願望もあるのかもしれないですけど。
糸井 あります、あります。
ヒーローにはそうあってほしいですからね。
さんま ぜんぜん違うヒーローとしてね。
「オレはできなかったけど、あんたは」
っていう気持ちもあるとは思うんですけどね。
糸井 ただ、ぜんぶに応えるわけにもね。
さんま まぁ、そうしないつもりですけどね。
頭のどっかには、そういう
(期待に応えたい)気持ちもありつつ、
「そんなバカな」と言い聞かせつつ、でも、
「あ、こういうことをしてほしいのかな」とか。
糸井 思っちゃうんですね(笑)。
さんま いや、やんないですよ。
やんないですけど、まぁ、
期待どおりにはいけないけども、
努力しようかな、とか。
糸井 (笑)
さんま 30何年も応援し続けてくれてる
ファンの人もいますからね。
糸井 「それをする男だ」と思いながらね。
さんま 一部には、いると思うんですよ。
ふつうのテレビを見てるファンは、
テレビでおもしろいことさえ
やってくれればいいと思ってるんでしょうけど、
あの、オレの人生を楽しんでる人も、一部には。
糸井 いや、そうとういますよ(笑)。
たとえば、小さいレベルでいえば、
『27時間テレビ』で、
中居くんとの深夜の番組が終わって、
「さよなら」って引っ込んだあとも、
「絶対、さんまはまた出てくる」って思って、
テレビを消さない人がいるんですよ。
さんま そうですねぇ(笑)。
糸井 まぁ、それはぼくなんですけど。
さんま クワー(笑)。
糸井 「やっぱり、さんまはまだいました」
っていうのが見たくて、
しばらく消せないんですよね。
さんま 「あいつまた出よった」って(笑)。
いっぺんね、『27時間』で、
「2時間だけ出てください」って頼まれて、
夜の9時ぐらいでしたかね、
出たことがあるんですよ。
で、2時間でいい、言われてるのに、
けっきょく13時間出たんです。
一同 (爆笑)
さんま もう、そういうときはね、
ぼくの人生ごと楽しんでいる一部の人は
笑ってくれるんですよ。
もうね、ああいうのが、好き。
糸井 はははははは。
さんま なんかそういう、期待って、
実際には忘れてるんですけども、
なんか、自分でやってしまいますね。
糸井 だから、もうなんか、さんまさんは
個人としてのさんまじゃなくて、
「さんまシステム」みたいなものが
動いてるんですよね。
さんま いや、それは、ほんとは、
期待に応えちゃダメなんですけどね。
もう、ぼちぼち年齢的にも。
糸井 いや、そこはだから、
笑いのおかげで、できてるともいえますよね。
二枚目でその期待されてたら
もっとキツいと思うんですよ。
さんま ああ、そりゃ、もちろん。はい。
糸井 二枚目でそういう状況だと、
マイケル・ジャクソンに
なっちゃうと思うんですよ。
さんま クワー(笑)。
いや、でも、あのね、
近いですよ、マイケル・ジャクソン。
一同 (爆笑)
さんま 近いです、近いです。かなり近いです。
あの、桁とか規模は大きく違いますけど、
かなりマイケル・ジャンクソンって‥‥。
糸井 近い?
さんま 近いと思いますよ。わかりますもん。
自分を追い込んでいってしまったんだろうとか。
糸井 マイケル・ジャクソンも、
マイケル・ジャクソンというシステムの中で
期待に応えてますよね。
さんま はい。
あの、遊園地作ったときにね、
ちらっと思いましたね。
ああ、この人ここに助けを求めたんだ、と。
糸井 それはすごい共感ですねぇ(笑)。
  (続きます)

2008-01-28-MON

(C) HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN