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清瀬の女性死亡:11病院受け入れず 長男が心境吐露「国に殺されたような」 /東京

 「母は国に殺されたようなもの。早く救急医療体制を整えるべきだ」。清瀬市の無職、岩下茂子さん(95)が1月、救急搬送中に11病院から「処置困難」「満床」などの理由で受け入れられず、結果的に死亡した。長男の洋三さん(50)は一刻も早い救急医療体制の立て直しを訴える。【酒井祥宏】

 ◇救急医療の整備訴える

 茂子さんは8日午後9時半ごろ、「胸が痛い」と訴え、洋三さんが119番通報。救急車は3分後に到着し東京消防庁本部と協力して約30分間搬送先を探した。茂子さんは心臓に持病があり、救急隊は循環器科のある病院を中心に近隣、23区内、埼玉県内の11病院に受け入れを要請。しかし、どの病院も受け入れられず、茂子さんは12番目の清瀬市内の病院で午後11時55分ごろ、徐脈性不整脈で死亡した。

 茂子さんは約8年前、田無市(現西東京市)の特別養護老人ホームに入居。04年7月から、洋三さんが田無市内の自宅で在宅介護を始めた。茂子さんは下半身が不自由なため、05年9月にバリアフリーの清瀬市内の都営アパートに引っ越した。茂子さんは軽度の認知症だったが、訪れた介護ヘルパーには「ありがとう」と何度も感謝する穏やかな性格だったという。

 洋三さんは1月中旬、病院に受け入れられなかった理由を聞いた。病院側は当時の状況を説明し「予算などの関係で救急体制を拡充したくてもできない」と実情を明かした。

 洋三さんは「政治家も国民も危機意識がない。これだけ医療機関のある東京でも問題が起きた」と話し、「救急医療現場はマンパワーが足りない。もっと予算をつぎ込むべきだ」と語気を強めた。

〔都内版〕

毎日新聞 2008年2月5日

 

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