BREAKTHROUGH POINT 〜つきぬけた瞬間
ロングインタビュー
人生の壁にぶつかった時、彼らは何を思ったか?あの人の25歳のころと今をインタビュー。
Vol.173 - Page1
まだまだ、これから
吉田栄作
よしだ・えいさく
1969年神奈川県生まれ。88年に「ナイスガイ・コンテスト・イン・ジャパン」でグランプリを獲得、映画『ガラスの中の少女』でデビュー。『君の瞳に恋してる!』『キモチいい恋したい!』などフジテレビのドラマを中心に活躍。デビューの翌年からスタートした歌手活動も軌道に乗り、90、91年と2年連続紅白歌合戦に出場。91年のドラマ『もう誰も愛さない』を経て、若手トップスターの名をほしいままにする。しかし95年に芸能界を一時休業、修業のため渡米する。3年後に帰国。大河ドラマ『元禄繚乱』(99年)などに出演。04年の『冬のひまわり』では事故で脳に障害を持ってしまうサラリーマンを好演。仕事の幅を広げ、リアルな演技のできるいい俳優としての評価を年々高めている。08年には新国立劇場で舞台『オットーと呼ばれる日本人』の主演も決定。映画『ミッドナイトイーグル』は丸の内ピカデリー1ほかで、全国拡大公開中。www.midnighteagle.jp吉田栄作 ロングインタビュー
スッと立ち上がると、スラリと足が長く、顔が小さい。
本当にバカみたいなのだけれど、本当に思った。
だがそれはもはや、吉田栄作最大の武器ではない。
22歳─ダーティーな役柄を演じて、世間を驚かせた。
26歳─日本を飛び出し、自身の世界を広げた。
29歳─再び日本で、幅広く深い演技に取り組む。
あと1年と少しで40歳を迎える。吉田栄作は知っている。
本当に頼るべき武器とはいったい何であるか、を。
武田篤典(steam)=文
text ATSUNORI TAKEDA
稲田 平=写真
photography PEY INADA
吉田栄作 ロングインタビュー
吉田栄作は問う。
「みなさんは自衛官にとっていちばん大切なスキルを想像できますか?」
取材陣、沈黙。世田谷パブリックシアターという劇場の楽屋である。吉田栄作38歳、柔らかな笑みをたたえながら、回答を待つ。先に進まないのは、われわれが答えることで、メッセージがより明確に浮き彫りになるからだろう。ナアナアでないところが誠実だ。
…死なないことでしょうか。ようやくひねり出した答えに、静かに応じる。
「ちょっと違いますね」
相変わらず、笑みをたたえたまま。