救急搬送 3回以上拒否1754件 福島県調査
2月5日6時12分配信 河北新報
福島県内で2006年、救急隊が病人やけが人を搬送しようとして医療機関から3回以上受け入れを拒否されたケースが1754件に上り、搬送回数の3.7%を占めたことが4日、県の調査で分かった。10回以上は78件で、いわき市では18回断られたケースもあった。
10回以上のうち76件(97.4%)はいわき市消防本部に集中し、多数回の受け入れ拒否が地域的に偏在する実態も判明。ほかの2件は、管内に救急病院が4つしかなく、管外搬送が約4割を占める双葉地方だった。
受け入れ拒否の理由で最も多かったのは、設備・機材がないなどの「処置困難」で35%。「医師が専門外」30%、「医師が手術、処置中」9%、「医師不在」8%と続き、背景に医師不足があることをうかがわせた。
3回以上の受け入れ拒否の割合は、04年が1.6%、05年が2.2%で年々増加していた。
福島市で昨年11月、交通事故で救急搬送された女性が市内の4病院で計8回受け入れを断られ、その後死亡した問題を受け、県が各消防本部に照会して集計した。記録の様式などの問題で集計不能とする消防本部もあった。
受け入れ拒否や搬送時間の遅れが死亡や重症化などにつながった事例がほかにあったかどうかについて、県は「調査の過程では確認していない」としている。県は地域の輪番制に参加し2次救急医療を担う病院などに、円滑な受け入れ態勢の確保を要請する方針。多数回のたらい回しが集中するいわき市の状況については「連携態勢などを再確認したい」と話している。
◎10回超、いわきに集中 勤務医足りぬ…苦悩
救急患者のたらい回し問題に関する福島県の実態調査で、いわき市が群を抜いて多いことが明らかになった4日、市消防本部は「重症患者を受け入れる2次救急医療体制がうまく機能すればいいのだが…」と苦悩をにじませた。病院側は「勤務医不足が深刻」と患者数に対応が追い付かない実情を打ち明けた。
2006年、受け入れ照会件数が10回以上の事例は大半がいわき市で、18回断られた揚げ句、救命救急センターを備える3次救急病院の市総合磐城共立病院に搬送された例も2件あった。
病院側が断った理由は「専門医がいない」「エックス線技師がいない」など。18回のケースは、酩酊(めいてい)状態で転んだ患者と腹痛の患者で、いずれも軽症だった。
いわき市には2次救急病院が17ある。地域医療対策を担う市保健福祉部は「2次病院の輪番制を改善したが、根本原因は勤務医不足」とみる。市内の06年の医師数は人口10万人当たり167人。全国平均は206人、県平均は176人で、人口が同規模の郡山市(241人)を大幅に下回る。
いわき市のある病院は「休日は10件程度、救急搬送を受け入れる。医師は交代で1人ずつ宿直しているが、断ることもある」と説明し、「勤務医の仕事はきついためか、医師数はここ十数年で半減した」と漏らす。
女性医師の就業支援や診療科新設への助成など勤務医確保対策を進める市の担当者は、深刻な調査結果に「見逃すわけにはいかないが、特効薬はない」と表情を曇らせた。
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