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【社会】

【関連】袋詰め以降農薬付着? 中国製ギョーザ 千葉と兵庫の製品 4日間、同工場で保管

2008年2月4日 朝刊

ジェイティフーズが販売する中国製ギョーザの調査について記者会見する岩井睦雄JT取締役(中央)ら=3日午後、東京・虎ノ門のJT本社で

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 中国製ギョーザによる中毒事件が三日、新たな展開を見せた。返品された天洋食品(中国河北省)製「ひとくち餃子」六袋から有機リン系農薬「メタミドホス」が検出された。兵庫県高砂市の家族が中毒を起こしたギョーザと同じ製造日で、農薬はいずれも袋の外側に付着。袋詰め以降の段階で付着した疑いが強い。一方、日本生活協同組合連合会も二点から微量が検出されたと発表。“農薬ギョーザ”の範囲がさらに広がったことで、関係者は遅れている製品回収に神経をとがらせている。 

 「袋の外側がべたべたしている」。問題のギョーザは昨年十月一日に製造され、食品商社「双日食料」(東京都港区)を通じてジェイティフーズ(JTF)が輸入した。だが、六袋については外側の袋がべとついていたため、今年一月八日、JTFが双日側に返品。事件を受けて任意提出し兵庫県警が鑑定していた。

 薬物はいずれも袋の外側に付着していたことから、袋詰め段階以降に付着した疑いがあるが、包装後は段ボールに入れられてバンドをかけられ、商品ごとに別のルートで日本に船便で輸入される。このため付着したのは袋詰めから出荷までの期間だったと疑われる。

 昨年十二月末の千葉市の中毒事件では、「手作り餃子」の食べ残しの皮と具からメタミドホスが検出。また、高砂市の事件や今回の一袋のような穴はなく、状態に違いがあることも大きななぞとなっている。

 また、中毒を起こした「ひとくち」「手作り」の二種類のギョーザには、天洋食品の工場での保管日に四日間の重複があることが分かった。

 ひとくち餃子は十月一日に製造され同三十日、工場から出荷され、十一月二日に天津出港のコンテナ船で大阪港に運ばれた。

 一方、手作り餃子は十月二十日に製造され同二十三日に出荷。二十九日に天津を出港し横浜港に到着した。

 二種類のギョーザは十月二十日から二十三日までは天洋食品の工場内に同時に保管されていたことになる。中毒を起こした千葉と兵庫のギョーザが同じ場所にあったのはこの期間だけとみられる。

 高砂市と今回の計二袋から見つかった穴と、農薬汚染との関連性は依然として分からないが、農薬に汚染された計九袋のうち、通常はみられない穴が二袋も見つかったことで、兵庫県警は、誰かが故意に袋の外から農薬を注入した可能性もあるとみて解明を急ぐ。

JT『一緒に輸入』

 日本たばこ産業(JT)と子会社のジェイティフーズは三日、東京都港区のJT本社で会見。兵庫県警が新たに袋の外側から農薬メタミドホスを検出したギョーザについて、兵庫県高砂市の親子三人が中毒症状を起こしたギョーザと同じ日に製造されただけでなく、一緒に輸入されたものであることを明らかにした。JTなどによると大阪府枚方市のスーパー「ハッピース枚方」でギョーザ二袋を買った客が昨年十二月二十七日に「パッケージの外側がねばつき、異臭がする」と返品。

 スーパーがこの二袋と、店頭に残っていた九袋の計十一袋の引き取りをJT側に求め、同日中に引き取られた。

 JT側がスーパーから引き取った十一袋は、昨年十月一日に天洋食品で製造され、四百七十六ケースで輸出された一万千四百二十四袋の一部。

 これらは名古屋市以西に流通し、高砂市の親子三人も食べたという。

 

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