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児童虐待:「歯で気付こう」三重県歯科医師会の訴え奏功

 歯で虐待に気付こう--。三重県歯科医師会と同県がネグレクト(育児放棄)などの虐待を受けている児童に虫歯が多いことなどを歯科医たちに伝え、検診時の対応マニュアルなどを配布したところ、歯科医の関心が高まって実際に通報するケースが増えてきたことが分かった。同会と県がこのほど津市で開いた「日本子ども虐待防止学会」で報告した。歯科医の意識向上が児童虐待の早期発見につながることを示す例として注目される。

 同会と県が05年度に行った調査によると、虐待を受け保護が必要な児童の虫歯経験率は通常の1.5倍に上る一方、処置率は約4分の1と極めて低かった。06年3月に同会の会員(約860人)に実施したアンケートでは、歯科医師の約4割が「検診でネグレクトの疑いを持ったことがある」としながら、市町や児童相談所に連絡した例はなかった。

 このためこうした場合の対応マニュアルなどを記したパンフレットを作製し配布。その結果、07年5月の2回目のアンケートでは「ネグレクトという言葉を知っている」と回答した歯科医が87.9%(前回63.3%)に上り「虐待を発見した時にどこに通報すればよいか知っている」と答えた歯科医も57.3%(前回45.9%)に上昇。実際に通報した例も3件あった。

 これと別に同県内の学校歯科医と養護教諭を対象にした07年10月の調査では「検診で虐待を疑い、学校に指摘した」と答えた学校歯科医は28件に上った。

 同会は07年度から、県内の児童相談所のうち2カ所で年1回、要保護児童の無料検診もしている。「児童虐待の抑止力を高め、子育てを支援したい」と話している。【高木香奈】

毎日新聞 2008年2月4日 15時00分 (最終更新時間 2月4日 22時06分)

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