いまさら、どんな紹介もいらないでしょう。
明石家さんまさんの登場です。
今回、ほぼ日で「睡眠」の特集をするにあたり、
この人が出てくれたら最高だなぁということで
夢のように名前を挙げていたのが
「とにかく寝ない人、明石家さんまさん」でした。
ほぼ日にかぎらず、こういった取材ものには
ほとんど登場しないといわれる明石家さんまさんですが、
多忙を極める中、時間を割いてくださいました。
脱線大歓迎、というスタンスで臨んだ糸井との対談は、
予想どおり、いえ、予想をいい意味でおおいに裏切る
「おもしろい時間」になりました。
全17回、どうぞたっぷりお楽しみください。
ああ、そうそう、この対談は期間限定の掲載となります。
睡眠特集の終了とともに読めなくなってしまいますので
どうぞ、読み逃しのないように!

「いつか無くなるものを求めちゃいかんのだよ。
無くなるものは、求めるためではなく、
そいつで遊ぶために、この世にあるんだからな」
(『セフティ・マッチの金の言葉』より)

第1回 寝ない人 第10回 動物とサッカー
第2回 ずっと元気 第11回 ハズレをつかむ快感
第3回 そんな生活はできない 第12回 落合采配
第4回 昔から、ずっと 第13回 考えてる時間
第5回 寝てられない 第14回 生きてるだけで丸儲け
第6回 シリコン 第15回 追いつかないんですよ
第7回 さんまシステム 第16回 幸せってなんだっけ?
第8回 負けてるときは 第17回 師匠
第9回 ピヨヨヨヨン    
第12回 落合采配
糸井 ハズレてもいいからしかけろ、
というさんまさんは、
あれはどう感じたんですか?
日本シリーズ最終戦の落合采配。
さんま ああ、難しい。

(※日本シリーズの落合采配:
 中日ドラゴンズの日本一がかかった
 2007年日本シリーズ第5戦。
 中日の山井投手が好投し、
 8回までひとりのランナーも出さない
 パーフェクトピッチングを展開。
 最終回を迎え、あと3人で完全試合達成、
 という局面で、中日の落合監督は
 山井投手から守護神、岩瀬投手にスイッチ。
 結果的に岩瀬投手が9回を三者凡退に抑え、
 中日が53年ぶりの日本一を達成したが、
 完全試合目前の投手を交代させるという
 前代未聞の采配が大きな話題になった)
糸井 ぼくは両方、
あると思うんですけど、
どっち派でした?
さんま ぼくはもう、絶対投げさすべき。
糸井 あ、そうですか。
さんま それはもう、そうですね。
糸井 ぼくは、自分だったら、
続投させるだろうって思いながらも、
落合監督は自分で責任取る
野球をしたんだなって感じるんです。
さんま ああ、そういうのはわかります。
わかりますけど、ぼくが思うのは、
やっぱりお客さんのことですよ。
糸井 うん、さんまさんは、そうですね。
絶対に代えちゃいけないという。
さんま ええ。昔ね、長嶋さんが、
桑田を抑えで起用したときに、
世間から叩かれたじゃないですか。
糸井 はいはいはい。
さんま 野村監督なんかはね、
「あの人のやることはわからん」
とか冷たく言ってたんですけどね。
そのあと、個人的にお会いしたとき、
ぼく、監督に訊いたんですよ。
「あのぅ、監督、あれは
 なんで桑田に投げさせたんですか」と。
糸井 おお。
さんま そしたらね、監督が言うたんです。
「さんまちゃん、
 おもしろかったでしょ?」って。
糸井 はーー。
さんま 「さんまちゃん、おもしろかったでしょ?」
って言われたときにね、ぼくはもう、
「はい、むちゃくちゃおもしろかったです」
って言うしかないんですよ。
あ、もう、「ここだ!」っていう(笑)。
糸井 なるほどね。
さんま たぶんね、巨人の選手の中でも、
「長嶋さんの采配はわからない」
っていう人もいると思うんですよ。
ついていけない人もいると思う。
糸井 そうでしょうね。
さんま でも、ぼくはやっぱり、
「いや、長嶋さんは正解や」って
いつも言ってるんですけどもね。
糸井 勝負を大切にする人と、
現場を大切にする人と、
記録を大切にする人と、
いろいろいると思うんですよ。
さんま そうですね。
で、けっきょくは、ぜんぶ正解なんですよ。
糸井 正解なんですよね。
さんま 正解です。
糸井 で、たぶん、いちばんいけないのは、
「こうすればみんなが文句言わないだろうな」
っていう選択だと思うんですよ。
さんま ああ、はいはいはい。
糸井 つまり、あそこで、
「代えなければ文句は出ないな」
っていう考え方をしちゃったら、
ダメなんだと思うんです。
さんま ああ、なるほどねえ。
糸井 どっちにしてもオレが責任取る、
っていうのが正しいんじゃないかなぁ。
さんま そうですね。いや、難しい。
糸井 いまでも考えますね、ぼくは、あのことは。
さんま いやいや、ほんと、
かなり難しいことやなと思いますけどもね。
糸井 さんまさんだったら、
責任をとって投げさせると。
さんま 絶対投げさせますね。
たぶん、逆転されるまでは。
ファンのこととか、
いまのプロ野球の状況とか考えると、
投げさせてしまいますね。
江川さんなんかは、テレビで
「ぼくもそうして(交代させて)ました」
って言ってたんですよね。
糸井 ああ、そうですか。
さんま あっそうか、江川さんもそうしてたか。
江川さんならやっぱりそうか、とかね。
なんか、江川さんの人生まで考えさせられた。
糸井 そうなんですよね。
おもしろがれる采配だったというのは、
もう、間違いないことで。
さんま ああ、なるほどね。
いや、こうやって話し合うだけでも
すごいですもんね。
糸井 そうなんです。
さんま そういうことなんですけどねぇ。
ん〜、でも、ファンのこととかね、
いま、なにを見たいんだ?
っていうところでいうとね‥‥。
糸井 いや、それはほら、さんまさんは、
ちんちんにシリコンを
入れるかもしれない人だからさ。
さんま クワー(笑)。
糸井 そういう人は投げさせますよ。
さんま そこで悩んでる人ですからね。
ということは、落合さんは絶対、
シリコン入れないですね。
糸井 入れない。
一同 (爆笑)
さんま いや、あのね(笑)、
言っときますけどね、
ぼくは入れないんですよ?
悩んだ自分がイヤだという話ですから。
糸井 ははははははは。
さんま いや、マジで。
でも、いま思っても恥ずかしいのは、
真剣にシリコンのパンフを
見てしまった自分‥‥。
一同 (爆笑)
  (続きます)
   
2008-02-04-MON

(C) HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN